
フランスの法令審査機関である憲法会議は8月14日、15歳未満のSNS利用を原則禁止する法律について、表現および通信の自由に対する過剰かつ不均衡な侵害があるとして、一部「違憲」との判断を下しました。この新法は、ネットいじめやアルゴリズムへの依存といった危険から未成年を保護するためマクロン大統領が主導し、7月に上下両院で可決されたものです。当初は9月1日から新規アカウント開設を禁じる形で施行が予定されており、実現すれば欧州初の厳格な規制となるため注目されていましたが、左派野党などが表現の自由を損なうとして公布前審査を申し立てていました。
憲法会議は、子どもの健康や安全を確保するという立法目的の正当性は認めたものの、講じられた手段が過剰であり比例原則に違反していると指摘しました。具体的には、サービスごとの機能やリスクを十分に精査せず、一律に「15歳未満」を対象とした点について、子どもの成熟度や家庭環境に応じた個別評価が欠落していると判断しました。また、利用制限に関して保護者の裁量が設定されていないことも強く問題視されています。
さらに、SNS事業者が全利用者を対象に年齢確認を行う義務についても、個人情報やプライバシーを保護するための十分な規定が欠如していると警告しました。野党側は事前の申し立ての中で、SNSは単なる娯楽にとどまらず、情報入手や学校生活、自己表現や他者の意見を聞く能力の形成に大きく貢献していると主張しており、今回の違憲判断はこうした懸念が一定の配慮を受けた形と言えます。
こうした多数の不備から、9月からの施行は一転して見送られることになりました。この事態を受け、マクロン大統領は首相に対し、憲法会議の指摘を踏まえた上で法的に堅固な修正案を早急に策定するよう指示し、自身の任期である来年春までの法制化を改めて目指す決意を示しています。
世界へ広がるSNS年齢規制の波と今後の課題
子どものSNS利用を巡る規制強化の動きは、フランスにとどまらず世界的な潮流となっています。先行するオーストラリアでは昨年(2025年)末、16歳未満の利用を禁じる法律を施行しました。欧州連合(EU)でも、子どもの利用に年齢制限を設ける「デジタル成人年齢」の導入が議論されているほか、加盟各国で独自の法整備が進められています。
具体的な各国の動向として、ギリシャやデンマークなどでも年齢規制に向けた動きが見られます。また、英国やスペインにおいても同様に規制を模索する動きが出ており、欧州全体で子どもの保護を目的とした法整備の議論が活発化しています。
一方で、規制逃れの横行や年齢認証システムの技術的なハードルなど、実効性をいかに担保するかが各国共通の課題として浮上しています。通信の自由やプライバシーの保護といった基本的人権と、子どもをデジタル空間の脅威から守るという目的をどのように両立させるのか、フランスの新たな法案策定の行方は、国際社会の今後のモデルケースとして強い関心を集めています。


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