
2025年に開催された大阪・関西万博の会場建設工事を巡り、工事費用を下請け業者に不正に水増し請求させて会社に多額の損害を与えたとして、大阪府警は8月19日、大手ゼネコンである竹中工務店の元総括作業所長である河井辰巳容疑者(61)を背任の疑いで逮捕しました。
同容疑者は、万博のシンボルとしてギネス世界記録にも認定された世界最大級の木造建築物「大屋根リング」のうち、同社を中心とした共同企業体が担当する西工区の建設工事をまとめる現場のトップでした。発表によると、同容疑者は現場トップの総括作業所長を務めていた期間のうち、2025年2月から5月にかけて、奈良市の下請け業者に対し、大屋根リングの仮設事務所の内装工事代金などとして水増し請求を指示し、竹中工務店に約1300万円の損害を与えた疑いが持たれています。 この下請け業者の選定から請求額の決定に至るまで、同容疑者には実質的な権限が集中していたとみられています。
警察のその後の調べにより、不正に得た資金は同容疑者の自宅や親族が経営するカフェなどのリフォーム費用に充てられていたことが判明しています。近隣住民の証言では、リフォーム工事によってかつて洋風だった自宅の外観が真新しい和風へと様変わりしていたということです。さらに、今回の仮設事務所以外の別の万博関連工事でも、同容疑者が同様の手口で架空の作業費を計上させるなどの水増し請求を繰り返させていた疑いが新たに浮上しています。警察は、私的流用された不正資金の総額が6000万円以上にのぼる可能性があるとみて、余罪の追及を含めた全容解明を進めています。
事件の舞台となった西工区の工事費は、契約当初の193億円から追加工事や資材価格の高騰などにより、直近で350億円にまで大きく膨張していました。会場建設費全体でも2350億円という巨額の費用が投じられており、そのうちの3分の2を国と大阪府・大阪市が公金から支出している国家的プロジェクトであることから、国民の厳しい視線が注がれています。
関係各所の対応と問われるゼネコンの管理体制
大阪府警は19日午前、大阪市にある竹中工務店の本店へ家宅捜索に入りました。同社は今年4月に容疑者を告訴しており、逮捕を受け「事態を厳粛に受け止め、警察の捜査に全面的に協力し、事実関係を確認した上で会社として厳正に対処する」と謝罪しました。 発注元である日本国際博覧会協会(万博協会)は「不正が事実であれば誠に遺憾」とコメントし、協会の副会長を務める吉村洋文・大阪府知事も会見で「非常に残念」と不快感を示しています。
今後は同社における内部統制の見直しや、別の取引先でも同様の不正が隠れていないかを含めた抜本的な調査と組織改革が急務となります。

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