
近年、生成AI技術の急速な進化に伴い、音楽業界にも新たな波が押し寄せています。大手レコード会社とテクノロジー企業は、次世代のAI製品開発に向けて提携を模索しています。しかし、この動きに対して現場のアーティストたちから強い反発の声が上がっており、両者の間に深い溝が生じています。
ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)、ソニー・ミュージック、ワーナーミュージック・グループ(WMG)などの大手レコード会社は数百万曲に及ぶ楽曲カタログを保有し、最高額の入札者にライセンス供与する権利を持っています。しかし、AI企業が既存の音源を学習データとして加工するには、楽曲を最初に録音したアーティストの同意が不可欠です。
多くのアーティストはAI技術に慎重か、明確な敵意すら示しています。海外ではマドンナなどの著名アーティストが、自身の声や肖像のライセンス供与に消極的な姿勢を崩していません。(中略)こうした「AIによる無断学習」への警戒感は国内でも高まっており、レコード会社は法的保護とAI技術の活用の間で難しい舵取りを迫られています。一時期、市場の懸念から大手音楽企業の株価が下落する事態も起きており、新技術の収益化モデルの確立が急務となっています。
AIプラットフォームとの提携と本格化する著作権訴訟
こうした状況下でも、AIプラットフォームとの提携は一部で進んでいます。WMGやUMG、独立系配給会社などを代表するマーリンは、テキストのプロンプト(指示)から楽曲を生成できるAIプラットフォーム「Udio」との提携を発表しました。さらにWMGは、生成楽曲のダウンロードや共有も可能な「Suno」とも契約を結んでいます。UMGとマーリンはスポティファイと共同で、AIリミックス機能の立ち上げに向けた協業を進めています。
これらAIサービスの基盤となる学習データを巡っては、全米レコード協会(RIAA)が2024年6月にSunoとUdioを著作権侵害で提訴するなど、激しい法的な対立が続いていました。しかし2025年秋以降、事態は大きく動きます。UMGがUdioと、WMGがSunoと相次いで和解に至り、アーティストの権利を保護する公式なライセンス契約に基づく提携へと方針を転換しました。RIAAは、両社がAIモデルをトレーニングするために、著作権で保護された録音物を数十年にわたり無断でコピーして取り込んだと主張しています。この行為が著作権法に違反するとして、侵害行為の差し止めと損害賠償を求め、人間の創造物の価値を守る法的措置に踏み切りました。












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