
ロシア海軍の太平洋艦隊は8月20日、日本が固有の領土と主張する北方領土の周辺海域において、地対艦ミサイルなどを用いた発射演習を実施したとSNSで発表しました。この軍事演習は、8月13日にロシアのプーチン大統領が択捉島を初めて訪問した直後に行われたもので、北方四島に対する実効支配を改めて誇示する狙いがあるとみられています。
プーチン大統領は8月13日の訪問時、択捉島内の水産加工場を視察してイクラを試食する様子を国営テレビで放映させるなど、同島の社会基盤整備が進んでいることをアピールしていました。また、訪問前日の8月12日には極東のサハリン州に立ち寄り、太平洋艦隊による軍事演習の最終段階を視察しています。
ロシア国防省の発表によれば、演習は定期的な訓練の一環として行われ、「仮想敵の艦艇」を攻撃の標的としました。艦隊旗艦であるミサイル巡洋艦「ワリャーグ」が対艦ミサイルを発射し、原子力潜水艦からは巡航ミサイルが発射されました。また、択捉島には2016年から最新鋭の地対艦ミサイルシステム「バスチオン」が配備されており、今回の演習でも同島沿岸から「バスチオン」を用いた実弾射撃が行われました。艦隊は、300キロ・メートル以上離れたすべての標的を正確に撃破することに成功したと主張しています。
ロシア国防省は8月4日の段階で演習の実施を公表し、日本側に対して択捉島周辺海域で8月16日から22日にかけてミサイル演習を行うと通告していました。日本外務省は外交ルートを通じて厳重に抗議していましたが、ロシアは予定通り演習を強行しました。一連の軍事行動の背景には、2022年2月のウクライナ侵略以降、対露経済制裁を継続している日本に対する牽制や、領土問題において譲歩しない姿勢を示す意図があるとの見方が出ています。高市早苗首相も今回の訪問が「中長期的な関係回復を困難にした」と指摘しており、日露関係のさらなる悪化が懸念されています。
日露間の外交的緊張が激化 駐露大使の呼び出しと日本側の強い反発
プーチン大統領の択捉島訪問に対し、高市早苗首相は「断じて許容できない」と強い言葉で非難し、日本政府として厳重な抗議を行いました。また、終戦後に故郷を追われた元島民らで構成される「千島歯舞諸島居住者連盟」の松本侑三理事長は、「故郷に土足で踏み込まれた気分だ」と憤りを露わにし、早期返還に向けた毅然とした外交交渉を国に求めています。
こうした日本側の批判に対し、ロシア外務省は8月18日、モスクワで武藤顕駐露大使を呼び出して強く反発しました。前駐日大使のミハイル・ガルージン外務次官は、北方四島に対するロシアの主権と管轄権は揺るぎないと主張し、日本の対応を違法だと非難しました。さらに、ウクライナ支援を続ける日本に対して対抗措置を取る可能性も示唆しており、日露間の外交対立は深刻さを増しています。日露関係の修復は極めて困難な局面を迎えており、今後の日本政府の対応が注目されます。












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