
中国税関当局が8月20日に公表した7月の貿易統計データによりますと、中国から日本へのレアアース(希土類)磁石の輸出量は、前年同月比で52.2%減の111トンへと減少しました。この下落幅は昨年6月以来、1年1カ月ぶりの大きさとなります。前月比でも約14%減を記録し、対日輸出量は5カ月連続で200トンを下回る低水準が続いています。磁石の性能を高めるジスプロシウムなどの重希土類が厳しく規制されていることが、この輸出量減少の主な要因とみられます。
一方で、同月の世界全体への輸出量は5375トンであり、前年同月比約4%減と小幅な減少にとどまりました。仕向け先別に見ますと、米国向けは647トンで約5%増、韓国向けは606トンで約19%増と軒並み増加しており、前年同月比で半減した日本向けの状況とは鮮明な対照をなしています。この統計結果について、中国政府が日本向けに抑えた分を、日本以外の国へ輸出している可能性も指摘されています。こうした対日輸出の落ち込みの背景には、昨年11月の高市早苗首相による台湾有事を巡る国会答弁を契機とした、「経済的威圧」の強化があります。
今年1月以降、中国はレアアースを含む物資をデュアルユース(軍民両用)製品と位置づけ、厳格な輸出規制を発動しました。さらに、中国商務省は2月と6月にそれぞれ20社、計40社の日本企業や団体を輸出規制リストに追加し、対象を拡大しています。これにより、電気自動車(EV)のモーターなどに広く使用される磁石の輸出許可の取得が非常に困難となっています。また、切削用の超硬工具に用いられる希少金属である炭化タングステンの輸出量も、今年2月以降6カ月連続でゼロとなっています。
長期化する税関審査と日系企業への影響
中国に進出する日系企業への影響も大きく表面化しています。中国日本商会が7月31日に発表した企業アンケート結果では、税関での審査の長期化が起きており、「納期遅れや船積み遅延などが発生している」として改善を求める意見が寄せられました。日本企業に関し、レアアースを含む幅広い貨物で税関での手続きが長期化しており、サプライチェーンへの悪影響が懸念されています。
電子機器や自動車などの国内主要産業において、部品として不可欠なレアアースの供給網が不安定になることは、製造業全体のリスクに直結します。輸出許可の取得が困難になっている現状を受け、各企業は今後の調達に関する計画の見直しなどを迫られています。長引く中国の輸出規制に対し、調達ルートの多角化を進めるなど、特定の国への依存度を引き下げるための強靱なサプライチェーン再構築に向けた動きが、一層重要度を増していくとみられます。












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