
米国とカナダの通商協議は21日、合意に至らないまま決裂しました。これを受け米国は22日午前0時1分(米東部時間)、カナダ製品の一部に50%の追加関税を発動。対象額は約200億ドル(約3兆1800億円)に上ります。カナダのマーク・カーニー首相は同規模の対抗措置を取ると表明しました。
今回の関税は1930年関税法338条に基づくもので、同条を発動して関税を課すのは初めてです。トランプ大統領は今月19日までの発動を予告していましたが、直前に「合意に達した」として3日間延期していました。
対象となるのは、ワインなどの酒類、乳製品、アイスホッケー用品を含む500品目超です。対象額はカナダの対米輸出全体の一部にとどまるものの、特定の地域や業種には負担が重くなるとみられます。
米国とカナダは、関税発動の期限を前に協議を続けてきました。カナダのドミニク・ルブラン対米貿易担当相は20日、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表との会談後、合意に「極めて近い」との認識を示していました。協議では、自動車や鉄鋼、アルミニウム、材木にかかる関税を下げる案が浮上していたとされます。
しかし最終局面で、両国の主張は折り合いませんでした。グリア代表は、カナダ側が今週前半に合意していた条件での通商協定の最終妥結を拒んだと説明しています。一方、カナダのカーニー首相は、米側が土壇場で提示条件を変更したとして強く反発しました。
カーニー首相は21日夜、交渉担当者にオタワへの帰国を指示し、米国との協議を停止すると表明。カナダは米国の関税措置に対し、同額の報復関税を科す構えで、企業や消費者へのコスト上昇が懸念されます。経済面の対立が、両国の政治関係にも影を落とす展開です。
USMCA更新協議にも不透明感
今回の対立は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の6年目の共同見直し(2026年7月)で3ヶ国が延長合意に至らず、協議が続くさなかに起きました。北米のサプライチェーンは自動車、金属、農産品などで国境をまたいで結び付いており、追加関税と報復措置の連鎖は企業の調達や投資判断を不安定にしかねません。
米加両政府は、鉄鋼・アルミニウム、自動車、木材などを巡っても利害が対立してきました。協議決裂で直ちに全面的な貿易断絶に進む状況ではないものの、再交渉のめどは示されていません。USMCAを巡る包括協議の環境が悪化すれば、北米市場のルールづくりにも影響を及ぼす可能性があります。












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