
イスラエルの極右政党を率いるイタマル・ベングビール国家治安相による過激な発言が、国際社会で大きな波紋を呼んでいます。パレスチナ自治区ガザにおける軍事作戦について、同氏はポッドキャスト番組の中で「ガザでは標的を絞った暗殺を実行すべきだ。毎晩30〜40人を排除すべきだ」と主張しました。さらに、その攻撃対象は「差し迫った脅威となる者だけではない」とした上で、「そこには生きる価値のない者たちがいる。彼らは生きていてはならない。彼らは人間ですらない」と述べ、パレスチナ人の人間性そのものを否定する持論を展開し、物議を醸しています。
この非人道的な発言に対し、各方面から非難の声が相次いでいます。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は声明を発表し、「残虐な犯罪行為に該当する暴力を擁護し、煽動するものであり、人間の尊厳を根底から否定している」と強く非難しました。また、ドイツのメルツ首相も報道官を通じて「国際法に明確に違反する非人道的な発言であり、到底容認できない」との厳しい姿勢を示しています。国際社会が停戦交渉や人道支援の拡大に向けて努力を続ける中、こうした極端な排除の論理を公言する閣僚の存在は、事態の沈静化を著しく阻害する要因となっています。
フランス政府は2026年5月、ガザ地区へ海路で支援物資を運ぼうとした活動家らが拿捕された際、ベングビール氏が彼らを嘲笑し地面に押し倒す動画をSNSに投稿したことを重く受け止め、すでに同氏に対して入国禁止措置を科しています。フランスのバロ外相は今回の事態を受け、さらなる追加制裁を科す可能性があると強い警告を発しました。
同盟国や友好国からの反発もエスカレートしており、オーストラリア政府はイスラエル軍によるガザでの誤爆について、これを不問に付そうとする対応に「憤慨」し、駐豪イスラエル大使を呼び出して猛抗議を行う異例の事態に発展しています。イスラエルの強硬姿勢に対する国際的な包囲網は、かつてないほど狭まっています。
連立政権の政治的思惑と繰り返される挑発行為
ベングビール氏の過激な発言がエスカレートする背景には、ネタニヤフ政権の脆弱な基盤が影響していると指摘されています。汚職疑惑を抱えるリクード党は、極右政党「ユダヤの力」に政権運営を依存しており、同氏の暴走に対して有効な歯止めが利かない構造となっています。
さらに読売新聞の報道によれば、同氏はエルサレム旧市街の聖地を訪問し、イスラム教徒のみに認められている礼拝を強行するなど、既成事実化を図る挑発行為を繰り返しています。
こうした強硬姿勢は、2026年10月に予定されている総選挙を見据えたものです。意図的に国内外の対立を煽ることで、右派層からの支持を確固たるものにしようとする政治的なアピールであるとの見方が強まっています。
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