
自動車へのドライバーモニタリングシステム(DMS)搭載が義務化されます。国土交通省が方針を固めたもので、運転中のスマートフォン操作による脇見や居眠りなどを検知し、運転者に警告する仕組みです。対象には国内で製造される車両だけでなく輸入車も含まれます。2031年9月以降の新型車から適用を始め、2033年9月には継続生産される既存モデルにも対象を広げる見通しです。
DMSは車内に設けたカメラなどによって、運転者の視線やまぶた、ハンドルの動きを確認する装置です。前方を見ていない状態や眠気による異常を検知すると、警報音やハンドルの振動などで注意を促します。脇見運転や居眠り運転を早い段階で知らせ、事故につながる危険な状態からの回復を後押しする役割が想定されています。
国交省は2020年にDMSの技術指針を策定して要件を定めており、国内メーカーが開発を進めてきました。2024年に国内向けに生産された乗用車約340万台のうち、約11%にあたる約38万台にすでに搭載されています。
こうした流れを踏まえ、国交省は2026年9月に道路運送車両法に基づく保安基準を改正する方針です。背景にあるのは、スマートフォンを操作しながら走行する「ながら運転」を含めた、運転者の注意力低下が重大事故を招くリスクです。運転支援機能が普及する一方、システムが作動していても最終的な安全確認と運転責任は人にあるため、運転者の状態そのものを把握する技術の重要性が高まっています。
今回の制度は、国際的な自動車安全基準との整合を踏まえた措置でもあります。日本も参画する国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)では、2026年3月にDMSの新たな国際基準が採択されました。9月の発効に合わせ、国内でもメーカーに準備期間を設けたうえで段階的に義務化を進めます。
新基準で求める警告の水準 普及で事故抑止に期待
脇見運転を検知する基準では、時速20〜50キロで走行中に6秒間、時速50キロ以上では3.5秒間にわたり前方から視線が外れた場合に、DMSが警告する仕組みを想定しています。居眠り運転についても、時速70〜130キロの範囲で一定水準の異常を検知する要件が設けられる見通しです。
義務化は、車種ごとの標準装備を後押しし、DMSの普及を加速させる可能性があります。ただし、警報装置は危険運転を完全に防ぐものではありません。運転者には、走行中にスマートフォンを操作しないこと、眠気や体調不良を感じた場合には安全な場所で休憩することが引き続き求められます。
制度設計と技術の普及を通じて、注意散漫や居眠りに起因する事故をどこまで減らせるかが課題となるでしょう。












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