
「エネルギー需給構造強靱化総合パッケージ」が8月26日、政府によって取りまとめられました。中東情勢の混乱で浮き彫りとなったエネルギー供給上のリスクを踏まえ、高市早苗首相はこの取り組みを「パワーGX」と名付けています。原油の調達先・輸送経路を広げるほか、ナフサの供給不安に備えた備蓄制度の見直し、原子力・再生可能エネルギーの活用などを盛り込んでいます。
柱の一つは、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡への依存を抑える取り組みです。政府は「パワー・アジア」の枠組みを活用し、同海峡を通らずに原油を輸出できる代替パイプラインの建設・増強を支援する考えです。具体的には、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)のリスクマネー供給機能を拡大するなど、環境整備を進めます。
支援対象としては、UAE(アラブ首長国連邦)がホルムズ海峡を迂回する輸出ルートとして建設を進める新たな西東パイプラインなどを念頭に置いています。同パイプラインは2027年末の稼働を目指しており、政府はインフラ整備への関与を通じ、日本企業の原油調達に伴う地政学的リスクを下げる方針です。
石油化学産業への影響が大きいナフサについても対策を講じます。ナフサは揮発性が高く、製品そのものを長期間保管することは難しいため、政府はナフサの原料である原油を「ナフサ利用分」として確保する仕組みを整える考えです。供給網が滞った場合でも、化学製品の生産に必要な原料を確保できる体制づくりが狙いです。
政府は今回の施策を、燃料の安定確保と脱炭素を並行して進める政策と位置付けています。高市首相はGX実行会議で、世界のエネルギー情勢の構造変化を踏まえ、国民生活や経済活動の保護が必要だと強調しました。
原発・国産再エネも活用へ 実現に向け年内に具体化
化石燃料への過度な依存を減らすため、政府は原子力発電を最大限活用するとともに、再生可能エネルギーの供給基盤強化を進めます。具体策には、日本で開発されたペロブスカイト太陽電池や次世代地熱発電、洋上風力など、国産脱炭素電源の事業基盤づくりが含まれます。
GX実行会議で示された方針は、燃料の調達多角化・リスク低減と、化石燃料依存度の低下を、二本の柱に据えました。脱炭素化を環境対策にとどめず、エネルギー安全保障やAI時代の電力需要への対応、産業競争力の強化にもつなげる構想です。
高市首相は、「パワーGX」の実現に向けたさらなる具体化を、年内をめどに進めるよう指示しました。中東由来の供給リスクへの短期的な備えと、国内の安定電源・再エネ産業を育てる中長期の取り組みをどう実行へ移すかが焦点となります。




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