
サイバーエージェントは8月21日、AIを前提としたプロダクト開発を横断的に担う新たな人材像として「AIX(AI eXperience)デザイナー」を定義したと発表しました。ビジネス課題の発見から実装・改善までを一貫して手がける役割で、あわせて育成と評価を担う専門組織「AIXデザイン室」を設立しています。
2028年までに全社の開発プロセスの完全自動化を目指す方針の一環で、エンジニアリングだけでなくデザインの仕事の進め方もAI駆動型へ移行させる狙いです。
同社は、プロダクト開発チームのAI活用度を5段階で示す「AI成熟度」を設定し、2028年には全プロダクトで少なくとも「Level4」への到達を目標に掲げています。Level4は、要件策定から本番環境への展開まで、開発工程全体をAIが自動的に実行できる状態を指します。
生成AIやAIエージェントの導入により、企画、開発、改善を短期間で繰り返す開発体制が広がる一方、従来のようにデザインと実装を別々の工程として扱う仕組みでは、変化の速い開発サイクルに十分対応しにくい課題がありました。
そこで同社は、AIを単なる制作支援ツールとして使うだけでなく、技術的な仕組みを理解しながらプロダクト改善を主導できるデザイナーの育成が必要だと判断しています。
AIXデザイナーは、ビジネス上の問題を見つけ、利用者にとっての体験を組み立てたうえで、AIを活用して実際に動くサービスへ落とし込み、検証・改良する役割を担います。従来のデザイナー業務に、AIエージェントを含む開発プロセスへの参加や、エンジニアリングへの理解を組み合わせる点が特徴です。
同社は開発AIエージェントの利用も進めており、2025年6月には年間約4億円を投じると表明しました。AI活用を個別の業務効率化にとどめず、組織の開発手順そのものを見直す取り組みへ広げています。
実践型プログラムで育成・評価を整備
AIXデザイン室は、必要な役割やスキルを定めるほか、実践的な学習機会の提供、習熟度を測る評価基準の整備を担います。第1期では、社内で選抜したデザイナーを対象に約1ヶ月のプログラムを実施し、AIエージェントを使った開発の進め方、エンジニアリングの基礎、実際のプロダクト開発を通じて必要な能力の習得を目指します。
執行役員でクリエイティブを担当する佐藤洋介氏は、AIが創造的な仕事を置き換えるのではなく、人が本質的な価値創出に集中するための技術だとの考えを示しました。今後は育成・評価の基準を更新しながら、AIXデザイナーの考え方を組織全体へ広げ、AI時代の開発とクリエイティブの接続を強める方針です。
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