
環境省は、2027年度から自治体や民間企業向けに行ってきた従来型シリコン系太陽光パネルの本体購入補助を廃止する方針を固めました。これまでパネル本体や蓄電池の購入費、施工費などを補助してきましたが、普及によるパネル価格の下落が進み、国の手厚い支援がなくても導入しやすい環境が整ったと判断したためです。なお、施工費や継続中の事業に対する補助については今後も引き続き行われる見通しです。
この方針転換の背景には、従来型の太陽光発電設備を巡る複数の構造的な課題が存在しています。近年、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の全国的な乱開発に伴い、森林伐採やずさんな造成による土砂災害のリスクが顕在化し、地域住民との間で訴訟などのトラブルが多発しています。実際に奈良県平群町では、住民が森林法違反の疑いで事業者を告発する事態にまで発展しました。
加えて、現在国内で流通する太陽光パネルの9割超が輸入品であり、その大半を中国製が占めている点も経済安全保障上の大きな懸念材料として指摘されています。特定の国への過度な依存は地政学的リスクを高めるため、高市政権下では導入規制の動きが強まっています。政府が補助金見直しにあたり公募した意見でも、「国内産業への恩恵は限定的」「効果が不透明」といった厳しい声が上がっていました。2027年度以降に新設される地上設置型の事業用設備に対するFIT(固定価格買取制度)およびFIP制度による支援も原則廃止される方向であり、政府は政策の軸足を明確に移しつつあります。
このように、従来型のシリコン製パネルは広大な平地や強固な屋根への設置を主な対象としており、現在その製造は中国が圧倒的なシェアを占めています。こうした状況から、政府は2027年度をもって従来型の本体購入費補助の廃止を決断しました。対照的に、政府が導入支援額を前年度の4倍に拡充し、実用化を強力に推進しているのが次世代型のペロブスカイト太陽電池です。この新技術は、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、さらには車体などへの柔軟な設置が可能であり、原料調達を含めた製造基盤を日本国内で確立することを目指しています。
経済安全保障を担う次世代技術の実用化へ向けた課題
従来型パネルへの支援を縮小する一方で、環境省は日本発の次世代技術である「ペロブスカイト太陽電池」の導入促進に注力します。同省はこれを導入する自治体や企業への支援事業として、2027年度予算の概算要求に前年度当初予算の4倍となる約280億円を盛り込みました。
この新型電池は極めて薄くて軽く、柔軟に曲げられる特長があり、従来は設置が難しかったビルの壁面や自動車の屋根などにも導入できます。さらに、主原料となるヨウ素は日本が世界第2位の生産量を有しており、国内のみでサプライチェーンを完結できる大きな強みがあります。政府はこれを成長戦略の重点投資対象の一つに位置づけており、2040年までに原発20基分に相当する20ギガワットの導入目標を掲げています。
しかし、本格的な実用化に向けては、安定した供給量の確保や量産体制の構築、さらなるコスト面での課題が多く残されており、実現の見通しは完全に立っているわけではありません。従来型の普及より新技術への投資に注力する格好ですが、実用化が遅れれば国内の太陽光発電の拡大自体が足踏みしてしまう懸念もあり、迅速な研究開発と社会実装が求められています。
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