
首都・東京の治安維持を担う警視庁で、警察官の不足が深刻になっています。警察庁の集計によると、2026年4月1日時点で警視庁に配置されている警察官は4万559人で、東京都条例に基づく定員4万3619人を3060人下回りました。定員に対する充足率は93.0%で、全国平均の97.1%を大きく下回り、都道府県警察の中で最も低い水準です。
不足数には、育児休業から職場へ戻って1年に満たない職員が制度上、欠員として算入されるケースも含まれます。警視庁の説明では、1523人は実際に勤務しているものの、一定期間は定員上の算定対象にならないとされます。それでも、こうした制度上の要因を除いても人手不足が進んでいるという状況です。
背景には、採用環境の変化があります。企業の採用意欲が強い東京では民間企業との人材獲得競争が激しく、警察官の採用計画を満たしにくい状況が続いているとみられます。加えて、転職市場の活発化を受け、若手や中堅の離職も課題になっています。全国でも警察官採用試験の受験者数は長期的に減少しており、人材確保は警察組織全体の課題となっています。
人員の余力が小さくなれば、事件捜査、地域のパトロール、交番勤務、大規模行事の警備などを同時に支える運用に負荷がかかります。特に人口や来訪者が集中する東京では、日常的な通報への対応力を維持しながら、重大事件や災害、テロ対策などへの備えも求められます。
110番到着時間に影響 交番運用の見直しも
警視庁では、110番通報を受理してから警察官が現場へ到着するまでの時間が延びる傾向にあります。2024年の警視庁管内のレスポンスタイムは、2019年と比べて約1.3倍に拡大しました。通報件数の増加に加え、現場へ向かう人員を確保しにくくなっていることが背景にあるとみられます。
警視庁は、人命に関わる事案や凶悪事件を優先し、緊急性の高い通報への対応時間は維持する方針です。一方で、限られた人員を効率的に配分するため、一部の警察署や都内825カ所の交番では運用の見直しが進む可能性があります。治安サービスの質を保つには、採用の立て直しだけでなく、業務の集約、通報の適正利用、デジタル技術の活用を含む持続可能な体制づくりが問われます。







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