軌道上データセンター、27年末に始動へ スペースXがAI衛星計画を具体化

スペースXは2027年10〜12月期、人工知能(AI)の計算処理を担う初の衛星を打ち上げる計画です。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が明らかにしたもので、2028年には事業を本格的に展開する方針を示しました。衛星を多数連携させ、宇宙空間そのものを分散型データセンターとして活用する構想です。
マスク氏がXへの投稿で示した計画によると、初期衛星には米半導体大手エヌビディアと共同開発したシステム「Vera Rubin NVL72」を採用します。CPU「Vera」とGPU「Rubin」を組み合わせた構成です。
地上の大型データセンターでは、AI需要の急増に伴って電力確保、冷却用水、建設用地などが課題となっています。スペースXは、太陽光を利用できる宇宙空間で計算処理を行うことで、こうした制約を避けながらAIインフラを拡大する狙いです。
衛星型データセンターについてマスク氏は、従来のサーバーラックを使う方式と比べて構造を簡素化しやすく、宇宙での展開コストは数年以内に地上を下回るとの見方を示しています。もっとも、放熱や機器の耐久性、衛星間通信、打ち上げコスト、宇宙ごみ対策など、地上とは異なる技術・運用上の課題も専門家から指摘されています。
構想の実現性は、衛星の量産能力と再使用型大型ロケットによる低コスト輸送をどこまで確立できるかに左右されそうです。
スペースXは、AI計算用の衛星ネットワークを最大100万基規模へ広げる構想を掲げ、2026年1月に米連邦通信委員会(FCC)へ認可を申請しました。6月時点では、AI衛星の初期実証を2027年末までに始める方針が伝えられており、今回の発言は打ち上げ時期をより具体的に示したものといえます。
エヌビディア採用でAI基盤を加速
スペースXの初代AI衛星群は「Starmind」と呼ばれ、エヌビディアも同日、自社システムが基盤になると発表しました。両社の発表がそろったことで、宇宙向けAIインフラでの連携が公式に裏付けられた形です。Grokなどの生成AIや、次世代AIエージェントに必要となる計算処理を高速化する狙いがあります。
AI半導体で強い存在感を持つエヌビディアとの連携は、宇宙輸送・衛星製造を手がけるスペースXが、AI計算基盤の分野にも事業領域を広げる動きとして注目されます。
一方で、100万基という衛星数は極めて大きく、電波利用、軌道の安全、天文観測への影響、各国の規制との調整が不可欠です。打ち上げ開始の時期だけでなく、試験機の性能や実際の運用コスト、規制当局の判断が計画の進展を見極める焦点となります。












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