
米トランプ政権は、商用や観光目的の短期滞在ビザで入国した後に亡命を申請した外国人を対象に、発給済みビザを最大20万件取り消す方針です。対象規模は、実施されれば米国史上最大級の一斉ビザ取り消しとなる見通しで、移民・難民政策を厳格化する政権方針を改めて示した形です。
報道によると、対象となるのは、米国で難民認定・亡命を申請した、または申請手続き中の外国人です。米国務省は、2016年から2026年に発給された商用ビザ「B1」および観光ビザ「B2」の保有者について、亡命申請との関係を確認し、順次取り消しを進める方向です。国務省は国土安全保障省と連携して対象者を特定するとしています。
ホワイトハウスは8月25日、措置をSNSで公表しました。国務省のトミー・ピゴット報道官は、短期滞在ビザを利用して入国し、その後に亡命を求める行為について、当初の渡航目的との整合性を問題視する考えを示しました。政府は、ビザを入国のための権利ではなく、条件付きで付与される許可として位置付けています。
ただし、ビザが取り消されても、直ちに全ての対象者が強制送還されるわけではありません。亡命申請の可否は移民制度上の別の手続きで判断され、申請者は審査や不服申し立てなどを通じて滞在資格を争う余地があります。一方で、ビザ取り消しの対象選定や手続きの妥当性を巡り、司法判断を求める訴訟が相次ぐ可能性があります。
亡命制度の滞留と人道保護、政策の行方が焦点に
今回の方針の背景には、米国の亡命制度を巡る審査の長期化と、国境管理を強化したい政権の意向があります。近年は人道的保護を求める申請が増え、移民裁判所では大量の案件が滞留しているとされます。政権は短期ビザからの亡命申請を抑制することで制度の利用を厳格化する狙いとみられます。
一方、亡命は迫害などから逃れた人を保護するための制度でもあり、一律にビザを取り消す手法には人権団体や弁護団から反発が出る可能性があります。対象者の個別事情をどこまで考慮するのか、またビザ取り消しが適正手続きに沿うのかが争点になりそうです。日本人旅行者の多くが利用する電子渡航認証システム「ESTA」は今回の公表内容で直接の対象とはされていませんが、米国の入国・移民政策の運用変化として注視が必要です。








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