
防衛省は8月28日、広島県呉市にある日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の跡地の取得契約を日本製鉄と締結しました。跡地を自衛隊の活動、防衛装備品の生産・整備、物資の備蓄、防災機能などを組み合わせた「多機能な複合防衛拠点」として活用する構想です。
防衛省と日本製鉄は2025年7月に基本合意を結んでおり、その後も一括取得に向けた協議を重ねてきました。今回、正式な契約締結に至っています。
取得対象は約140ヘクタールです。跡地には自衛隊の庁舎・隊舎、火薬庫、無人機の製造・整備施設、ヘリポートなどを整備する計画となっています。加えて、防衛装備品に関わる民間企業が進出するエリアを設け、製造、維持整備、研究開発を担う企業の誘致を進める方針です。
呉市は海上自衛隊の主要拠点を抱える地域です。小泉進次郎防衛相は閣議後会見で、呉地区を「安全保障上極めて重要な地域」と位置づけ、複合防衛拠点の整備を通じて防衛力の抜本的な強化につなげる考えを示しました。
一方、契約額は公表されておらず、土地の引き渡し時期や個別施設の整備開始時期も明らかにされていません。構想の具体化に当たっては、地域の雇用や産業への効果をどう高めるか、周辺住民への説明や安全面への配慮をどう進めるかが課題です。防衛拠点としての役割と、製鉄所閉鎖後の地域再生を両立できるかが今後の焦点となります。
地元経済への波及に期待 企業募集を順次開始へ
防衛省は今後、拠点内で防衛装備品の製造、研究開発、維持整備などを担う民間企業の募集手続きを始める予定です。防衛産業の供給基盤を広げる狙いがあり、呉市内の製造業や建設業、サービス業にも新たな受注や人材需要の高まりが期待されます。
新原芳明呉市長は、雇用の拡大に加え、防衛に関わる観光の広がりなどを通じ、市の活性化につながるとの見方を示しました。広島県の横田美香知事も、今回の契約を拠点整備に向けた大きな前進と評価し、地域経済を活性化させ、住民が将来に希望を持てる利活用となるよう求めています。
かつて協力会社を含め約3000人規模の従業員が働いた製鉄所は、2023年9月末に全面閉鎖されました。広大な跡地の活用は、呉市にとって雇用・産業政策上の重要課題でした。防衛省による整備が安全保障強化だけでなく、地域経済の持続性にどこまで寄与するかが問われます。












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