米FRBウォーシュ議長、追加利上げの可能性を示唆 物価高への警戒でタカ派姿勢を強調

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は、8月28日に米ワイオミング州で開催された年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演を行い、米国のインフレ率が高止まりしている現状に強い警戒感を示しました。講演の中でウォーシュ議長は、インフレ抑制を「現時点でFRBが最優先すべき課題」と明言しています。基調的な物価上昇率が目標とする2%に着実に回帰しない場合には、「我々にはまだやるべき仕事がある」と強調し、インフレ率が目標に向かっているとの確信が持てない限り、将来的な追加利上げなどの金融引き締めを排除しない姿勢を明確に打ち出しました。
現在の米国経済は、人工知能(AI)関連の旺盛な設備投資などを背景に堅調さを維持しており、労働市場や雇用情勢も安定を保っています。しかし、FRBが政策判断で最も重視する7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は前年同月比3.7%と、6月から横ばいの高水準が続いており、目標の2%を5年以上も上回り続けているのが実態です。ウォーシュ議長は足元の物価動向について「基調的なトレンドが大きく改善したようには見えない」と厳しく指摘し、「物価の安定は自動的に実現されるものではなく、FRBの責務だ」と語り、金融引き締め策の継続に強い意欲を見せました。
さらにウォーシュ議長は、市場との対話姿勢についても言及しています。将来の金融政策の先行きを詳細に示唆するフォワードガイダンスを過度に開示することは、市場参加者を誤った方向へ導く恐れがあると説明し、過剰な情報開示路線を見直す方針を堅持しました。今回のタカ派的な講演内容を受け、金融市場ではFRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの観測が急速に高まりました。前日までは金利据え置き予想が6割を占めていたものの、講演後には利上げ予想が5割を超えるなど、市場関係者の見通しは大きく修正されることとなりました。
金融市場への影響と1ドル160円台への円安進行
ウォーシュ議長の利上げ示唆発言を受け、米債券市場では長期金利が急上昇し、外国為替市場では日米の金利差拡大を意識した「円売り・ドル買い」の流れが一気に加速しました。8月28日のニューヨーク外国為替市場において、対ドルの円相場は一時1ドル=160円台に急落しました。この水準は、7月末に日米両政府が円安是正に向けた協調介入に踏み切って以降、初めてのこととなります。
株式市場でも利上げ警戒感が重しとなり、同日のニューヨーク株式市場で主要指数がそろって下落しました。ダウ平均株価は9.45ドル安の5万3559.99ドルとなり、2日ぶりの値下がりとなっています。また、金利上昇を嫌気してIT銘柄を中心に売りが広がり、ナスダック総合指数も138.93ポイント安の2万6402.42に下落しました。市場では、日本銀行による追加利上げ観測があるものの、FRBの金融引き締め長期化や、2027年度予算の概算要求が過去最大の140兆円前後に上ることによる日本の財政悪化懸念から、さらなる円安進行に対する警戒感が高まっています。












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