
半導体メモリー大手のキオクシアと米サンディスクのトップが8月27日に首相官邸を訪問し、高市早苗首相に対して新たな事業計画を報告しました。両社は、政府からの支援を前提として、2032年までの6年間で日本国内に総額5兆円規模の大規模な共同投資を行う方針を明らかにしています。急拡大するAI(人工知能)需要に対応するため、次世代フラッシュメモリーの安定供給と生産体制の強化を目指すものです。両社はこれまで25年以上にわたり協業を続けており、過去に日本国内で実施した設備投資は累計で約9兆円に上るなど、強固なパートナーシップを築いてきました。
今回の総額5兆円に上る共同投資プロジェクトの中核となるのが、岩手県にある北上工場での新たな製造棟の建設です。この第3製造棟(K3棟)には、投資額のうち約1兆8000億円が投じられる見通しであり、2029年度中の稼働開始を目標としています。また、主力拠点である三重県の四日市工場においても、市場環境を見極めながら継続的な設備増強が進められます。さらに、同工場における合弁会社の契約期間を2034年12月まで延長することも決定しており、日米連携による長期的な安定供給体制が今後も維持される見込みです。
面会の席で、キオクシアホールディングスの太田裕雄社長は、政府からの補助金を上回る額について触れ、「法人税で十分お返しできる」と力強く語りました。高市首相はこれに対し、「税率を上げずとも税収が増える自然増の好循環だ」と称賛し、本計画を自治体と連携した産業クラスター形成のモデルケースとして高く評価しています。経済安全保障の観点からも、日米トップ企業の連携が地方経済の活性化と国家の成長に直結することが大いに期待されています。
政府の戦略17分野とフィジカルAIへの重点投資
今回の半導体分野への巨額投資は、政府が描く次世代の成長戦略とも軌を一にするものです。高市政権は、国家の命運を握る戦略17分野に対して、2040年度までに総額370兆円超もの官民投資を促す計画を調整しています。この投資枠の筆頭に挙げられているのが半導体分野であり、まさに官民一体となった取り組みが本格化しています。
戦略の中でも特に注目されているのが、自律的にロボットなどを動かす次世代技術であるフィジカルAIです。深刻な人手不足を補う自動化技術として期待されるこの分野には、10.5兆円の重点的な投資が見込まれています。また、次世代エネルギーの切り札とされる核融合発電などを含む最先端領域にも3.1兆円が投じられるなど、日本の産業競争力を根本から引き上げる政策が打ち出されています。キオクシアの増産計画は、こうした高度なデータ処理を支える基盤として、日本の未来社会に不可欠な役割を果たすことになります。












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