
政府の地震調査委員会は8月28日、近畿地域の活断層を対象にした長期評価を公表し、近畿のどこかでマグニチュード(M)6.8以上の地震が今後30年以内に起きる確率を50〜60%と示しました。近畿全域を対象にした確率の公表は初めてです。評価は内陸や沿岸の活断層で起きる地震を対象としており、海溝沿いで発生が想定される南海トラフ地震とは別のリスクを示すものです。
対象となったのは、近畿とその周辺に分布する45の活断層です。地震調査委は、M7級以上の地震を起こし得る主要活断層帯だけでなく、比較的小規模な断層を含め、地域全体としての危険度を算定しました。個別断層の評価だけでは把握しにくい地域単位の地震リスクを明らかにし、自治体の被害想定や防災対策に生かす狙いがあります。
地域別では、活断層が集中する大阪府、京都府南部、兵庫県南東部などを含む「近畿三角帯」が40〜60%と最も高くなりました。兵庫県北部や京都府北部などの「近畿北西部」は30%、紀伊半島は7%と評価されています。近畿全域の50〜60%という数字は、これまでに地域評価が示された関東と並ぶ高水準です。
今回の評価では、30年以内の地震発生確率が3%以上とされる最上位の「Sランク」に該当する活断層が8本となりました。1995年の阪神・淡路大震災と関係した六甲・淡路島断層帯の一部は、断層の長さなどの見直しを踏まえ、従来より高い評価に改められました。一方で、上町断層帯の主要区間は、過去の活動時期に関する知見の更新により評価が引き下げられています。
直下型地震は、発生場所が都市部の近傍となる場合、強い揺れが短時間で広範囲に及ぶおそれがあります。確率は特定の時期や場所での発生を予告するものではありませんが、住宅の耐震化、家具の固定、非常用備蓄、家族との連絡方法や避難先の確認を平時から進める重要性を改めて示しています。
南海トラフと別に備えるべき内陸地震リスク
近畿では、南海トラフ巨大地震への備えが注目されやすい一方、今回の評価は足元の活断層による内陸地震についても警戒が必要であることを示しました。地震調査委の地域評価は、地震規模、断層の位置、過去の活動履歴などの知見を基にした長期的な見通しであり、特定の断層だけを見て安全性を判断するものではありません。
六甲・淡路島断層帯の一部は、30年以内にM7.8程度の地震が起きる確率が「3%以上」とされ、最上位区分へ引き上げられました。上町断層帯は評価区分が下がったものの、地震発生時の影響が小さいことを意味するわけではありません。断層ごとの数値の変動だけにとらわれず、地域全体で複数の地震リスクを前提に防災計画を点検することが求められます。












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