
ロシアは8月27日、英国がウクライナに対して長距離巡航ミサイルの技術供与を行っていることへの対抗措置として、ウクライナ国内外にある英国の軍事施設や装備品を標的とした攻撃に踏み切る可能性があると警告しました。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は同日の記者会見で、英国政府の姿勢は、ロシア市民への「テロ支援」に等しい水準に達しつつあると強く非難しました。これまでにもロシア側から同様の牽制は行われてきましたが、今回の声明は従来よりも表現が一段と厳しく、最も強い切迫感を伴う異例のものとなっています。ザハロワ報道官は、英国の指導部に対して現在の敵対的かつ攻撃的な路線を直ちに放棄するよう要求し、方針を転換しなければ、取り返しのつかない破滅的な事態を引き起こすことになると警告しています。
今回の強硬な警告の背景には、ウクライナに対する西側諸国の高度な兵器技術支援への強い危機感があります。英国はウクライナに対して、ロシア領内の奥深くまで攻撃可能な巡航ミサイル「ストームシャドウ」などの運用や生産に関わる支援を進めています。また、フランス政府も同系統の欧州製ミサイル技術の供与に同意している状況です。ザハロワ報道官は会見でフランスに対しても威嚇の矛先を向け、英仏両国が高度なミサイル技術をウクライナに供与する行為は「火遊びをしている」に等しく、紛争を全く新たなレベルへとエスカレートさせると痛烈に批判しました。
具体的には、英国が支援している「ストームシャドウ」は長距離巡航ミサイルであり、過去にロシア西部の軍需工場への攻撃に使用された実績があります。一方、フランスも、ストームシャドウと同系統の欧州製巡航ミサイルの技術ライセンス供与を進めているとみられています。
過去には、ウクライナ軍がロシア西部ブリャンスク州の軍需工場を英国製のストームシャドウで攻撃し、7人が死亡、40人以上が負傷し施設に重大な損傷を与えた事例も発生しており、ロシア側はこうした事態の再発や拡大を極度に警戒しています。
欧米の軍事支援継続と、長距離攻撃をめぐる紛争エスカレートの懸念
ロシア側からの「ウクライナ領外の軍事施設も標的になり得る」という直接的な軍事恫喝にもかかわらず、英国政府はこれまでのところ同種の警告を一蹴する姿勢を崩していません。英国防省などは、ロシアによる不当な侵略から自国を防衛しようとするウクライナを支援するため、必要と判断される措置は引き続き断固として実行していくという立場を明確にしています。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、和平実現にはロシアへの軍事的な圧力が必要だとして、長距離攻撃を継続する考えを示しています。
英仏によるミサイル技術のライセンス供与は、こうしたウクライナの自立的な防衛産業基盤を強力に後押しするものです。しかし、ロシア領内への長距離攻撃を可能にする技術移転に対し、ロシア側が報復措置の対象を第三国にまで広げる構えを見せたことで、紛争が予期せぬ形で拡大する重大な懸念材料となっています。












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