
2027年度予算案の編成に向け、各省庁が財務省に提出した概算要求の一般会計総額は、143兆円超に達する見通しです。2026年度の要求額122兆4454億円を大きく上回り、4年連続で過去最大を更新することになります。
今回の要求額が膨らんだ背景には、政府が予見可能性を高める狙いから、従来は補正予算で対応してきた平時の支出を当初予算に移す方針があります。加えて、危機管理や成長分野向けの新たな「強く豊かな日本投資枠」を創設し、各省庁の要求を押し上げました。
この投資枠は要求額の上限を設けない仕組みで、一般会計分だけで政府が想定していた10兆円を超える要求が集まったとされています。金額を確定せずに将来の予算措置を求める「事項要求」も認められており、今後の査定過程で歳出規模はなお変動する可能性があります。
経済産業省は投資枠を活用し、AI、半導体、ロボット関連に1兆4342億円を要求しました。ロボットを動かす基盤モデルの開発や半導体の製造基盤強化などを支援する方針です。また、レアアースを含む重要鉱物の確保には約6800億円を盛り込んでおり、経済安全保障と産業競争力の強化を同時に進める構えです。
一方、財務省は国債の償還と利払いに充てる国債費として36兆6386億円を要求しました。長期金利の上昇を踏まえ、利払い費算定の前提となる想定金利を2026年度当初予算の年3.0%から年3.8%に引き上げており、金利上昇局面における利払い負担の増加が財政運営の重荷となりつつあります。
厚生労働省は年金や医療などの社会保障費を含め36兆5803億円、防衛省は8兆8908億円を要求しており、社会保障と防衛の両分野でも高水準の要求が続いています。
成長投資と財政規律の両立が焦点に
高市政権は2027年度予算を「責任ある積極財政元年」と位置付け、2040年度までに官民合わせて370兆円超の投資を目指す方針です。ただ、概算要求は各省庁が必要と考える経費を示す段階であり、そのまま予算額になるわけではありません。年末にかけて財務省が査定し、政府予算案は年内に決定される見通しです。
問われるのは、上限のない投資要求を成長率や税収の拡大につながる事業へ絞り込めるかどうかです。AI・半導体などへの投資は将来の供給力を高める可能性がある一方、効果検証を欠いたまま支出が先行すれば、国債費の増加と相まって財政の持続性を損なうおそれがあります。歳出の規模だけでなく、投資の選別、実施後の検証、安定財源の確保をどう進めるかが、予算編成の主要な論点となります。












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