
漫画「聖闘士星矢」や「リングにかけろ」で知られる漫画家の車田正美さんは9月2日、自身が代表を務める著作権管理会社など3社から巨額の資金が不正に流出したとして、元マネジャーの男性らを相手に東京地裁へ損害賠償を求める訴えを起こしました。原告側は被害額を約46億円と主張し、既に弁済された約18億円を差し引いた約28億8600万円の支払いを求めています。
訴状などによると、元マネジャーは原告3社の経理や取引先との交渉を担っていました。原告側は、2018年から2024年にかけて、会社名義の預金を元マネジャー側が支配する複数の会社の口座へ無断で送金したほか、取引先から支払われるライセンス料を原告会社とは別の口座に振り込ませていたと主張しています。資金流出の総額については、約46億8000万円余りとされています。
原告側の訴えでは、元役員のほかにも複数の関係者が関与したとしています。流出した資金は暗号資産への投資などに充てられたとみられ、取引先からの入金先として、原告側の関連会社を装う会社が秘密裏に設立されていたと指摘しています。問題は2024年2月ごろ、東京国税局からの指摘を契機に発覚したとされています。
車田さんは会見で、信頼していた人物による行為に強い衝撃と落胆を示しました。発覚当時、会社口座の残高が乏しく、多額の納税への対応が困難な状態だったことも明らかにしています。原告側は民事訴訟を通じ、資金移動の経緯と関係者の責任を明らかにしたい考えです。
現時点で、被告側の具体的な反論は明らかになっていません。原告側が示した被害額や不正送金の経緯、被告らの関与の程度は、今後の裁判手続きで検証されることになります。裁判所が請求額をどこまで認めるか、また既に弁済された金額を含む資金回収の全体像がどう整理されるかが注目されます。
著作権収入を管理する会社に求められる内部統制
今回の提訴では、車田さんの作品に関する著作権やライセンス収入を扱う会社が原告となっています。漫画作品は出版収入に加え、アニメ化、商品化、映像配信、海外展開などによって多様な収益が生じるため、契約管理や入金確認の仕組みが複雑化しやすい側面があります。
原告側の主張によれば、経理と対外交渉を長期間にわたり担った人物に権限が集中していたとされます。入金先の変更や資金移動を複数人で確認する体制、外部専門家を交えた定期監査、取引先との直接的な照合などが機能していたかどうかも、事案を考える上で重要な点です。
一方、原告側は約18億円について弁済を受けたとしていますが、残る約28億8600万円を巡る法的な判断はこれからです。訴訟で事実関係が整理される過程では、資金の使途や関係会社の設立経緯、各被告の役割などが争点となる可能性があります。創作活動を支える事業基盤を守る観点からも、権利ビジネスにおける資金管理の透明性と、内部統制の実効性が改めて問われる事案です。











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