
フランス南部カーニュ=シュル=メールのルノワール美術館で8日早朝、印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919年)の絵画4点が2人組に持ち去られ、このうち2点が現在も所在不明となっています。フランス文化省が発表した内容などによると、犯人らは敷地のフェンスを破って侵入し、窓ガラスを割って館内に入ったとされています。
盗まれた4点の被害額は、フランスメディアの報道で約900万ユーロ、日本円換算で約16億円と見積もられています。犯人らは絵画を壁面に固定していた金具を電動のこぎりで切断し、短時間で作品を持ち出したとみられています。警報の作動から警察の到着まで約5分だったものの、2人組はその間に逃走しました。
4点のうち、美術館の庭で回収されたのは「マダム・ピションの肖像」と「読書するココ」です。一方で、「コロンナ・ロマーノ夫人の肖像」と「井戸端の若い女性」の2点は見つかっておらず、警察が犯人の行方とともに作品の捜索を続けています。持ち出した4点のうち2点を敷地内に残して逃げた経緯については、警察の到着が迫ったことが影響した可能性があります。
行方不明の2作品はいずれも、パリのオルセー美術館が所蔵し、ルノワール美術館に寄託されていた作品です。美術品は市場での取引が困難になるとされる一方、文化財としての損失は金額だけでは測れません。ルノワールゆかりの地にある美術館が標的となったことで、作品の保全と小規模施設を含む警備態勢のあり方が改めて問われています。
美術館の脆弱性が焦点に 文化相も警備強化の必要性指摘
今回の事件では、犯人らが侵入経路を確保した上で、固定具を切断する工具を使ったとされ、事前に館内外の状況を把握していた可能性も指摘されています。フランスでは近年、美術館や文化施設を狙った窃盗事件が相次いでおり、展示の公開性と警備強化をどう両立させるかが課題です。
ペガール文化相は事件を受け、美術館の警備面での脆弱性が明らかになったとして、対策を急ぐ必要性を示しました。捜査当局は、現場周辺の映像や遺留品などを分析しながら2人組の特定を進めています。作品の早期回収に加え、地方の文化施設における侵入防止設備や警報後の対応体制が、今後の検証対象となりそうです。




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