
三菱商事は9月29日、カナダ西部で展開する液化天然ガス(LNG)事業「LNGカナダ」の生産能力を増強するため、約5000億円を投じる方針を発表しました。拡張設備の稼働開始が見込まれる2030年代初頭には、プロジェクト全体の年間生産能力を現在の2倍に当たる2800万トンへ引き上げる計画です。
LNGカナダは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州キティマットで操業する同国初の大型LNG事業です。三菱商事は英石油大手シェルなどと共同で投資を行い、液化設備を拡張します。三菱商事の出資比率は15%で、追加投資総額は約3兆3000億円とされ、その15%分に相当する約5000億円を同社が負担する見通しです。
拡張後の年間2800万トンという生産能力は、2025年の日本のLNG輸入量の約4割に相当する規模です。既存施設の能力は年間1400万トンで、今回の計画により倍増します。三菱商事は、拡張設備の稼働開始後、既存権益分の年間210万トンに加え、新たに年間210万トンのLNGを引き取る予定で、同社の引取量も倍増します。
日本のエネルギー調達多様化に期待
カナダ西海岸から日本への輸送は、中東のホルムズ海峡を経由せずに可能です。地政学的リスクの影響を受けにくい調達ルートとして、日本のエネルギー安定供給や調達先の多様化に寄与すると期待されています。
また、カナダ西部には豊富な天然ガス資源があり、アジアの主要需要地までの航海距離が比較的短い点も強みです。拡張計画では、既設の長距離パイプラインや一部の既存プラント設備を活用し、競争力のあるLNGの安定的な供給を目指します。
AIやデータセンターの拡大などを背景に、世界のエネルギー需要は今後も増加が見込まれます。三菱商事は、今回の投資を通じてエネルギーの安定供給を支えるとともに、低炭素・脱炭素社会への移行にも対応する考えです。
今後は、拡張設備の建設進捗や建設費の変動、世界のLNG需給の変化が事業収益性を左右する見通しです。三菱商事は、長期的なエネルギー需要の増加を踏まえ、カナダ産LNGを主力事業の一つとして育成していく方針です。












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