
KDDIは9月30日、楽天モバイルに自社の通信網を貸し出すローミングサービスについて、10月から提供エリアを大幅に縮小する新たな枠組みを発表しました。2020年に携帯電話事業へ本格参入した楽天モバイルは、自社基地局が未整備の地域をカバーするため、KDDIのau回線を借りることで全国展開を進めてきました。しかし、近年は楽天ユーザーのデータ通信量が急増しており、自社ユーザーの通信品質を優先したいKDDI側は、初期の人口カバー補填という役割を果たしたと判断しました。
すでにローミングが終了している東京都区部、名古屋市、大阪市に加え、10月1日からは仙台市、横浜市、京都市、神戸市、広島市、福岡市などを含む全国18政令指定都市の市街地などで、原則として回線の貸し出しが打ち切られます。これらの都市部では、楽天モバイルの自社回線に完全に一本化されることになります。
一方で、地方や郊外、山間部など、楽天モバイルによる独自の基地局整備に時間を要しているエリアについては対応が異なります。「楽天モバイルが自ら基地局整備を行うこと」を大前提とした上で、今後も一定期間はインフラ維持のための限定的なローミング支援が継続されます。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も決算会見やSNSを通じ、自社カバーに時間を要するエリアでは契約に則りローミングが継続される点を強調しています。現在、楽天モバイルの契約数は1100万回線を突破し、業績改善の兆しを見せていますが、高速大容量通信規格である5Gの基地局数は3万5000局にとどまっており、ローミング縮小に伴う設備投資の急拡大と採算維持が大きな課題となっています。
一方でKDDI側にとっては、ローミングを終了させた地域の通信トラフィック負荷が軽減されるため、自社のauやUQ mobileユーザーに向けてネットワーク資源を優先的に割り当て、より安定した通信環境を提供しやすくなるという側面があります。KDDIは9月30日付けで最新のエリアマップを公開しており、利用者は自身の生活圏における電波状況の変化を事前に確認することが推奨されます。
通信品質の変化に対する懸念と競合他社の顧客獲得に向けた動き
ローミングの大幅な縮小に伴い、楽天モバイルユーザーの間では通信品質への影響が懸念されています。屋外では自社回線が十分に届く都市部であっても、電波が遮られやすい地下鉄や大型商業施設の屋内など、これまでKDDIの回線に依存していた場所では、一時的に繋がりにくくなる可能性があります。これに対し楽天モバイルは、2024年6月から商用サービスを開始したプラチナバンド(700MHz帯)の整備を急ピッチで進めており、2026年3月時点で約1万局(10,661局)の開設計画をもとにエリア拡大を図っています。
こうした通信環境の移行期を商機と捉え、NTTドコモやソフトバンクなどの競合大手は、通信品質に不安を抱くユーザーの流出を見込み、乗り換えを促すための施策を強化しています。ポイント還元策やグループ企業の店舗網を生かした販促キャンペーンを展開し、顧客の囲い込みを狙う動きが活発化しています。楽天モバイルがいかに迅速に自社インフラを拡充し、ユーザーの利便性を維持できるかが問われています。









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