
モーター大手のニデックは9月30日、公表を延期していた2026年3月期の連結決算(国際会計基準)を発表しました。純損益は過去最大となる5646億円の赤字に転落し、前期の846億円の黒字から大きく悪化しています。この巨額赤字の背景には、電気自動車(EV)向け駆動装置事業や、中国を中心とした家電・商業・産業用製品事業における収益性の悪化などがあり、結果として、同社グループで6322億円の減損損失を計上したことが主な要因です。
さらに同日、関東財務局へ提出された有価証券報告書において、同社の会計監査を担当したPwCジャパン有限責任監査法人は、財務諸表が適正かどうかについて「意見不表明」としました。また、内部管理体制が有効に機能しているかを示す内部統制報告書についても、是正措置が未完了であることを理由に「評価結果不表明」のまま提出されています。大企業の監査において意見不表明となるのは極めて異例であり、ニデックにとっては2期連続となります。
監査法人が意見を表明しなかった理由について、「十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった」と指摘されています。具体的には、過去の不正会計や監査法人に対する虚偽の説明に関与した役職員の一部が、現在でも財務報告プロセスにおいて責任ある立場に残っている点が挙げられました。これにより、ガバナンスや統制環境が有効に機能しているかについて重大な懸念が生じており、減損額の見積もりや計上時期の妥当性に関しても、信頼に足る証拠が得られなかったと説明されています。
東証の特別注意銘柄指定と上場維持へのハードル
ニデックは昨秋の不正会計発覚を受け、東京証券取引所から内部管理体制の改善が必要な「特別注意銘柄」に指定されています。今回の有価証券報告書でも「意見不表明」となったことで、市場における不透明感は一段と強まりました。東京証券取引所の規定に基づき、指定から1年が経過する10月末までに内部管理体制の改善状況が審査される予定です。この審査で抜本的な改善が不十分と判断されれば、上場廃止となる可能性が高く、同社は上場維持に向けた正念場を迎えています。
あわせて発表された2027年3月期の連結業績予想では、売上高を2兆8000億円、最終利益を1000億円の黒字に転換する計画が示されました。しかし、市場の信頼を取り戻すためには、業績の回復のみならず、社内体制の正常化とガバナンスの再構築を迅速に実行し、確かな改善実績を示すことが強く求められています。












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