2026年上半期の国内不動産投資、海外マネー流入で4.4兆円規模を維持 オフィスとデータセンターが市場を牽引

不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクスの最新調査によりますと、2026年上半期の国内不動産市場は、全体として高水準を維持しつつも転換期の兆しを見せています。上期の取引総額は約4.4兆円規模となり、前年同期と比べ2.9%の微減となりました。年初の第1四半期は活発な取引が牽引したものの、春以降の第2四半期に入ると市場はやや落ち着きを取り戻しつつあります。それでも上期累計では前年をわずかに下回る水準にとどまっており、市場全体としては引き続き歴史的な高水準を維持しています。
セクター別の取引動向では、明暗がはっきりと分かれる結果となりました。取引額のトップはオフィスで、約1兆9,590億円(全体の44%)を占め、前年同期比6%増と着実な成長を記録しました。次いで賃貸マンションが約6,520億円(15%)、物流施設が約5,650億円(13%)と続きます。オフィスへの投資が拡大した背景には、単純な出社回帰だけでなく、深刻な人手不足の中で優秀な人材を獲得・維持するためのワークプレイス戦略の台頭があります。東京都心部を中心とした空室率の低下に伴い、大幅な賃料上昇のアップサイドが見込まれていることが投資マネーを引き付けています。
さらに特筆すべきは、生成AIの普及などを背景に需要が急増しているデータセンターへの投資です。取引額は約2,560億円(6%)ですが、前年同期比で127%増という驚異的な伸びを示しました。一方で、開発用地は約2,040億円(同53%減)、商業施設は約3,360億円(同38%減)と大幅に減少しました。これは、建築費の高騰や労務費の上昇により、新規開発計画の見直しや延期を余儀なくされている供給側の現状を色濃く反映しています。
アジア資本が急増、円安と市場の安定性を背景に海外投資家が存在感
国内金利の先行きに警戒感が出るなか、投資主体の内訳には大きな地殻変動が起きています。国内資本による購入額が約2兆8,440億円(前年同期比17%減)と縮小傾向にあるのに対し、外国資本の流入は約1兆5,910億円(同42%増)へと急拡大しました。その結果、市場全体に占める外国資本のシェアは36%に跳ね上がり、過去10年平均(27%)を大きく凌駕する歴史的な水準となっています。
外国資本の最大のターゲットはオフィスであり、約7,230億円(シェア45%)を記録しました。これは2007年以降の半期ベースで過去最高額となります。国内金利の上昇や借入コストの負担増への懸念から、物件の売却を進めるJ-REITや一般事業会社のアセットライト化の動きを好機と捉え、資金力に勝る海外のオポチュニスティック系ファンドが優良物件を積極的に取得する構図が生まれています。
国・地域別で見ますと、米国が44%(前年差4ポイント減)で首位を保つものの、香港が22%(同12ポイント増)、シンガポールが13%(同横ばい)と、アジア系資本の躍進が顕著に表れています。長期化する円安水準による外貨建てでの割安感に加え、地政学的リスクを避けるための資産分散先として、日本の政治的安定性や高い流動性が改めて評価されており、海外投資家の旺盛な取得意欲は今後も継続すると見込まれます。



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