
米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会(USCC)は、中国がイランに対し、経済、外交、安全保障の各分野で支援を続けているとする報告書を公表しました。報告書は、中国製兵器の供与疑惑や衛星情報の提供、エネルギー取引など計64件の事例を整理し、米国とイランの軍事的緊張が高まる局面で中国が果たした役割を検証しています。米国側では、中国の対イラン政策が中東での米軍や同盟国の安全保障に影響を及ぼす可能性があるとの懸念が強まっています。
報告書の対象となったのは、米政権が2月末から開始した対イラン軍事作戦「壮絶な怒り」を巡る動きです。USCCのランディ・シュライバー委員長は、中国が米国とイランの対立において、経済・外交・安保面からイランを支え、米国に敵対する活動に関与してきたとの見方を示しました。一方、中国側は米国に対し、イランへの直接的な軍事支援や兵器売却は実施していないとの立場を説明しているとされています。
報告書は具体例として、中国製の携帯式対空ミサイル「QW-12」「FN-16」が、香港を経由してイランへ計約400基売却された可能性を指摘しました。さらに、香港に拠点を置く中国系ハイテク企業3社が、イラン軍に対し、イラン周辺に展開する米軍の衛星画像情報を提供したとの情報も盛り込みました。報道では、イランが中国製の携行型防空ミサイル発射機を最大400基調達する契約を結んだとの関係者証言も伝えられています。
また、報告書はイラン南西部で作戦中だった米軍F15戦闘機の撃墜について、中国製の携帯式対空ミサイルが使われた可能性に言及しました。イラン軍が中国独自の衛星測位システム「北斗」を利用し、中東における米軍とイスラエル軍の展開を把握していたとの指摘も含まれています。兵器そのものに加えて、位置情報や偵察情報といった軍事活動を支える技術面での協力が疑われている点が、米側にとって大きな問題となっています。
兵器疑惑にとどまらない中国・イラン関係
USCCは、中国とイランの関係を軍事協力だけではなく、制裁下のイラン経済を支える取引も含めて捉えています。報告書によると、イラン船籍の貨物船が中国・広東省珠海市の港から、ミサイル発射燃料の原料となり得るナトリウム系化学品を積み込み、イランへ運んだとされています。こうした物資移転の有無や用途は、国際的な輸出管理・制裁の実効性を左右しかねません。
中国はイラン産原油の最大の輸入国とされ、石油取引はイランにとって外貨収入の重要な基盤です。米側は、この経済的な結び付きがイランの対米・対イスラエル政策を支える一因になっているとみています。ただし、今回示された事例の一部は米議会機関による評価・主張に基づくものであり、中国側は軍事支援を否定しています。兵器の移転や情報提供の事実関係をめぐっては、今後も米中両国の主張を含む独立した検証が重要になります。












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