
外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険において、社員らが顧客から巨額の金銭をだまし取っていた問題を受け、金融庁は同社に対して保険業法に基づく一部業務停止命令を出す方向で最終調整に入ったとされています。あわせて、親会社であるプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンに対しても、子会社に対する監督や企業統治に重大な不備があったとして、業務改善命令を出す方針を固めています。
業務停止の対象となるのは、保険商品の新規契約や販売、募集などの業務全般であり、停止期間は3か月程度とする案を軸に調整が進められています。生命保険会社に対する一部業務停止命令が発出されれば、2019年に不適切販売が多数明らかになったかんぽ生命保険への処分以来となり、業界内でも極めて重い行政処分となります。
今回の処分に至った背景には、長期間にわたって常態化していた営業現場での深刻な金銭不祥事があります。1991年から2025年までの長期間にわたり、100人を超える社員および元社員が、約500人の顧客から計約31億円を詐取していたことが今年1月に公表されました。その後の調査により、新たに被害が判明し、被害総額は約39億円にまで拡大していることが分かっています。
さらに金融庁による立ち入り検査の結果、単なる金銭詐取にとどまらず、保険商品を販売する際に顧客に対して十分な説明を行わない情報提供義務違反などの法令違反行為も多数の営業社員の間で確認されたということです。金融庁は、これらの問題が一部の社員による個人的な逸脱行為ではなく、会社全体の内部統制や組織風土に根ざした構造的な欠陥であると判断しています。同社は今年2月から新規の営業を自粛し、当時の間原寛社長が引責辞任する事態に発展しましたが、監督当局は現在の体制による改善策では不十分とみており、抜本的な立て直しと経営責任の明確化を強く求めています。
顧客情報1570人分の紛失と報酬制度見直しによる立て直し
巨額の金銭詐取問題に加え、同社では顧客情報のずさんな管理体制も露呈しています。今年9月14日、多摩支社に在籍していた元営業社員が、顧客1570人分の電話番号や住所、勤務先、契約状況などの個人情報を不正に社外へ持ち出し、退職した今年3月以降に紛失していた事実を公表しました。紛失した書類を拾った第三者からの連絡によって発覚しており、情報管理の甘さが厳しく問われています。
一連の不祥事を引き起こした最大の要因として、同社の特徴である過度な成果主義が指摘されています。営業社員の収入が新契約の獲得実績に大きく依存する完全歩合制に近い報酬体系が、社員を過大なプレッシャーに追い込み不正の温床になったと分析されています。この事態を受け、同社は月35万円の最低報酬を保証する新たな給与体系の導入を決定し、長年維持してきた完全歩合制の事実上の見直しへと踏み切りました。金融庁からの厳罰を機に、顧客保護を最優先とした組織風土の根本的な改革が急務となっています。












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