
アメリカのトランプ大統領は9月29日、首都ワシントンのホワイトハウスに先端技術開発を手がける関連企業の幹部ら約20人を招き、安全管理に向けた業界の自主的な取り組みを定める合意文書に署名しました。この会合には、オープンAIやアンソロピック、グーグル、メタ、エヌビディアなどの主要なトップが参加しています。
トランプ大統領は会合後の記者団に対し、技術の安全対策においては「自主規制が非常に重要だ」と強調しました。イノベーションの阻害要因になりかねないとして、新たな連邦規制の導入など法的な規制強化を明確に拒否し、今回の合意は「道義的な拘束力を持つものだ」と説明して企業側の管理能力に委ねる方針を打ち出しています。
合意文書の具体的な内容としては、サイバー攻撃やバイオテロの脅威を防ぐため、高度なシステムが外部ネットワークへ不正侵入することを阻止する管理体制の導入が規定されました。さらに、異常を検知する仕組みが機能しているかを確認する社内チームの設置、独立した外部監査人による実効性の定期的な点検、そして各社の取締役会に安全対策を専門に監督する独立委員会を設けることなどが柱として盛り込まれています。これに関連し、同大統領は業界全体の動向を監視するため、10人程度で構成される特別委員会の設置を検討していることも明らかにしました。
さらに、トランプ大統領は同日、連邦政府の行政部門において「AI(人工知能)」という従来の呼称を「スーパーインテリジェンス(SI=超知能)」へ変更するよう命じる大統領令にも署名しました。これは、AIの暴走などに対する国民の否定的な認識を払拭する狙いがあるものと分析されています。今後は政府の公文書やウェブサイト上の表記が順次改められる見通しです。
中国との技術覇権競争と業界トップの反応
法的な規制強化が見送られた背景には、国家レベルでの覇権競争と国内経済への配慮が強く働いています。開発でアメリカを猛追する中国に対して圧倒的な優位性を維持するため、政府は企業側の開発速度を制限しない自主規制路線を採用しました。加えて、全米各地で問題化しているデータセンターの建設に伴う電力消費への懸念についても、大統領は立地地域の学校教育へ財政支援を拡充するなどの還元策を示し、企業が海外へ流出することを防ぎつつ地域住民の理解を得ていく考えを強調しています。
これまで技術の潜在的な危険性に警鐘を鳴らしてきた新興企業アンソロピックのダリオ・アモデイCEOですが、今回の会合後には「AIを制する者が世界を制するという大統領の言う通りだ」と述べ、トランプ氏の自主規制路線に一定の同調を示しました。その上で、AIのリスクへ対処するメカニズムについては「まだ議論の最中である」と記者団に語り、今後の自主規制の実効性確保に向けた詳細なルール作りの重要性を示唆しています。












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