
タイ警察は、ミャンマーとの国境に近い西部カンチャナブリ県で、20代の日本人男性2人を9月30日に保護したと発表しました。2人は、ミャンマー側にある特殊詐欺の拠点で、日本の高齢者らを標的にした電話詐欺への加担を強いられていた可能性があるとみられています。
2人はSNSなどに出た高収入の求人をきっかけにタイへ渡航しました。その後、仲介役を通じてミャンマーの犯罪グループ側へ引き渡され、特殊詐欺に使われる拠点へ移された疑いがあります。現地では、警察官などを装って日本国内の人に電話をかける、いわゆる「かけ子」の役割を担うよう求められていたといいます。
タイ警察の説明では、男性らは命令に従わなければ暴行を受けることや、日本にいる家族に危害が及ぶことを示唆されていたとされています。所持品を取り上げられ、報酬を受け取れないまま拘束的な環境に置かれていた可能性もあります。
2人は家族らに電話で助けを求め、日本大使館とタイ警察の連携を経て保護につながりました。ミャンマー側の拠点からどのような経路でタイ領内に入ったのかは、現時点で明らかになっていません。今後は、日本側の捜査機関とも情報を共有しながら、組織の実態や勧誘の経路を確認する必要があります。
タイ警察は2人を人身取引の被害者として扱い、渡航に至った経緯や仲介者、詐欺グループとの関係を詳しく調べています。拠点にはほかにも日本人がいた可能性があり、関係機関は実態の把握を進めています。
高収入求人を入り口にした越境犯罪への警戒
今回の事案は、「短期間で高収入が得られる」といったSNS上の募集が、海外の犯罪組織による人身取引や特殊詐欺への勧誘に悪用される危険性を改めて示しています。応募者が正規の仕事だと信じて渡航した後、移動の自由を奪われ、犯罪行為を強いられるケースでは、本人が加害行為に関与させられていても、脅迫や監視の有無を含めた慎重な事実確認が必要になります。
警察は、海外渡航を伴う求人に応じる際、雇用主の実態や契約条件、渡航先での業務内容を事前に確認するよう注意を呼びかけています。特に、連絡手段がSNSや匿名性の高いアプリに限られ、具体的な会社情報や勤務地が示されない求人には警戒が求められます。安易にパスポートやスマートフォンを預けず、不審な点があれば家族や警察、在外公館に相談することが重要です。

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