
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、「非常戒厳」宣言に関連した内乱罪で起訴されました。現職大統領の起訴は、韓国史上初の出来事として記録されることになります。
検察は当初、尹大統領の身柄拘束期間の延長を求めましたが、認められず早期の起訴に踏み切る形となりました。これにより、最長6ヶ月の拘束が可能となる一方、尹錫悦大統領側は取り調べにほとんど応じていません。
しかし検察は、既に起訴された関係者の証言や捜査で得た証拠を基に、罪を立証し公判を維持できると判断しました。
弁護団は「戒厳宣言は内乱罪に当たらない」と反論し、刑事裁判で捜査の違法性を明らかにすると強く主張しています。さらに、尹錫悦大統領は戒厳宣言をめぐって国会から弾劾訴追も受けており、憲法裁判所での審判も始まっています。
一連の騒動は、高官犯罪捜査庁が公邸にこもっていた尹錫悦大統領を15日に拘束し、19日に逮捕したことから急速に展開しました。韓国の政治史上類を見ない事態が続く中、大統領の法的責任や今後の政権運営に対する国民の関心は日に日に高まっています。
ネット上では、「現時点で起訴するのには反対」「国民の感情すら無視して不当な起訴とは最低」「日本から尹大統領を応援してます」など、起訴反対の意見が多く寄せられています。
与党「国民の力」の支持率が急上昇 支持率39%へ
韓国の尹錫悦大統領が非常戒厳令をめぐって弾劾訴追された後、韓国内で驚くべき変化が起きています。与党「国民の力」の支持率が急上昇し、野党「共に民主党」を上回る事態となったのです。
2024年12月の世論調査では、「共に民主党」が「国民の力」を大きくリードし、尹錫悦大統領の支持率も就任以来最低を記録していました。しかし、1月17日の調査で「国民の力」の支持率は39%となり、「共に民主党」の支持率36%を5ヶ月ぶりに上回りました。先日発表された10本の調査のうち9本で、「国民の力」が「共に民主党」を上回っています。
この急転の背景には、国民の我慢の限界があると指摘されています。ソウル西部地裁前には数万人もの大統領支持者が集まって抗議し、全国的に保守派が数万人規模の集会を開くなど、怒りの声が爆発しているのです。
一方、野党は弾劾を政権交代の好機と捉え、与党に攻勢をかけています。2024年12月27日には韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾訴追を議決するなど、政権の弱体化を図っています。
このような混乱の中で、尹錫悦大統領率いる与党の支持率が上昇するという予想外の展開に発展しました。政権運営にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。