
日本銀行は1月24日、金融政策決定会合で政策金利を0.5%程度に引き上げることを決めました。これは前回の利上げから約半年ぶり、政策金利としては2008年10月以来、17年ぶりの高い水準です。日銀にとって思い切った一手といえるでしょう。
会見に臨んだ植田和男総裁は、今後も経済・物価の改善が続けば利上げを検討する方針を示す一方で、そのペースやタイミングは慎重に判断すると強調しました。日本経済の羅針盤としての役割を果たすべく、細心の注意を払う構えです。
追加利上げの背景には、日本の経済・物価が概ね日銀の想定通りに推移し、その実現可能性が高まってきたことがあります。景気は緩やかな回復基調にあり、賃上げの動きも昨年に続き、今春闘でも堅調な模様です。
物価面でも、賃金上昇を起点とした価格転嫁の動きが広がり、2%の「物価安定の目標」に向けて着実に近づきつつあるとのことです。
とはいえ、日銀としては金融緩和の調整が適当と判断したわけで、金融引き締めへの転換を意味するものではありません。今後も経済・物価・金融情勢を見極めつつ、必要なら追加利上げも躊躇わない構えですが、そのハードルは決して低くはないでしょう。
ネット上では、「どう考えてもまだ金利を上げるタイミングではない」「サラリーマンが注文住宅を買えなくなる時代が来ますね」「今年はあと一回利上げがありそう」などの意見が寄せられています。
日銀の対応は異例 企業や家計への影響は避けられない
日銀が利上げに踏み切った背景には、2025年の春闘において高水準の賃上げが見込まれることや、トランプ米大統領の就任に伴う市場の変動が限定的だったことなどがあります。しかし、利上げの判断を会合直前に示唆するなど、日銀の対応は異例尽くめでした。
この決定により、日本経済は名実ともに「金利ある世界」へと一歩を踏み出すことになります。企業や家計への影響は避けられませんが、日銀としては金融政策の正常化に向けて、決断を下したといえるでしょう。
市場の反応はもちろん、実体経済への影響にも注目が集まる中、日銀がどのような金融政策を展開していくのか。物価高と景気減速という難しい局面において、その手腕が問われることになるでしょう。
物価の安定と経済の持続的な成長という2つの目標の達成に向け、的確な舵取りを期待したいものです。