大阪・関西万博「スコットランド・ヘルステックデー」6月26日開催 医療イノベーションで連携強化~認知症ケア・遠隔医療・ロボティクスなど、共通課題における最新技術と協業事例を紹介~

2025-7-5

~認知症ケア・遠隔医療・ロボティクスなど、共通課題における最新技術と協業事例を紹介~

スコットランド国際開発庁

大阪・関西万博「スコットランド・ヘルステックデー」パネルディスカッションの様子

大阪・関西万博「スコットランド・ヘルステックデー」パネルディスカッションの様子

 

スコットランド政府および駐日英国大使館 スコットランド国際開発庁(以下、SDI)は、2025年6月23日から27日まで通商使節団を日本へ派遣し、東京でのセミナー・レセプション、大阪・関西万博で 「スコットランド・ヘルステックデー」、ならびに医療機器関連見本市「Japan Health 2025」への出展を通じて、日本とのヘルステック分野における関係深化と技術協力の拡大を図りました。

通商使節団には、スコットランド政府 保健福祉担当大臣(内閣閣僚)ニール・グレイ(Neil Gray)を筆頭に、スコットランドの革新的ヘルステック企業やイノベーション・エコシステムの主要プレーヤーが参加。AI、ロボティクス、遠隔医療、認知症ケアなど、スコットランドと日本が共に直面する課題に対して、先進的なソリューションや産官学連携の実例が紹介されました。特に、日本の医療データの利活用に関する課題に対して、スコットランドの一元的なデータ管理モデルが注目を集めました。

保健福祉担当大臣(内閣閣僚)ニール・グレイは、「スコットランドには、ヨーロッパでも最大規模かつ最もアクセスしやすく、最も協力的で、グローバルに認められたヘルステック・エコシステムがあります」と述べたうえで、「私たちは、産業界・学術機関・公共セクターが連携する“トリプルヘリックス”型のイノベーションアプローチを実践しており、起業家精神を育みながら、高齢化社会や慢性疾患、そして医療現場でのロボティクス活用など、世界的な健康課題の解決に取り組んでいます」と強調しました。

さらに、NHS(国民保健サービス)スコットランドの役割についても触れ、「NHSスコットランドは、臨床研究、技術開発、社会実装、スケールアップといったすべてのイノベーションのパスウェイに関与しています。これにより、国内外の企業にとって、信頼性や実証的エビデンスの向上を実現する、非常に価値ある開発パートナーとなっています」と、スコットランドのヘルステック分野が持つ国際的競争力と実践的な魅力を力強く語りました。

保健福祉担当大臣 ニール・グレイ

保健福祉担当大臣 ニール・グレイ

 

■ パネルセッション ハイライト
① 『日本とスコットランドのイノベーションの連携 ― 共創による未来へ』
このセッションでは、スコットランドが医療技術分野で日本の重要な連携拠点となる可能性について、各登壇者が多角的な視点から意見を交わしました。

特に、日本とスコットランドが共に直面している高齢化社会という共通課題に対し、迅速かつ効果的に取り組む必要がある中で、スコットランドが誇る“トリプルヘリックス”型のイノベーション・エコシステム(産業・学術・公共セクターの連携構造)に、日本がパートナーとして関わることで、課題解決に向けた取り組みのスピードと実効性が飛躍的に高まることが強調されました。

② 『スコットランド ヘルスケア イノベーション・エコシステム ショーケース』
本セッションでは、スコットランドにおける医療イノベーションの実践基盤として、政府が出資する地域イノベーション・ハブの取り組みが紹介されました。これらのハブは、医療従事者・企業・研究者・患者を巻き込んだ全方位型の開発体制を特徴とし、国際連携における極めて有効なモデルとして注目を集めました。
さらに、スコットランドは認知症ケア分野において先進的な取り組みを進めており、すでに日本の企業との実績ある連携事例も紹介されました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

 

こうした協力体制は、スコットランドが保有する大規模な医療・介護データ(ビッグデータ)を活用し、国際的に展開するうえで、安全かつ迅速な検証が可能であることを示しています。
その一方で、こうしたデータ活用や臨床連携の成功には、信頼を基盤とした継続的な関係構築が不可欠であることも、ディスカッションを通じて明らかになりました。相互理解と価値共有に基づく連携こそが、イノベーションの社会実装と国際展開を加速させる鍵であると、登壇者らは強調しました。

参加企業プレゼンテーションの様子

参加企業プレゼンテーションの様子

参加企業ショーケースの様子

参加企業ショーケースの様子

また、スコットランドを代表する以下6社が自社の革新的プロダクトを紹介。多くの参加者が製品を通じて技術への理解を深めました。
SDIインターナショナルオペレーション部門マネージングディレクターのルーベン・エイトケンは、「ライフサイエンスおよびヘルステック産業は、年間100億ポンド超の経済価値をスコットランドにもたらしています。万博のような国際的イベントは、こうした主要産業における貿易、輸出、そして国際協業の機会を創出する重要な場です。今回、私たちが大阪・関西万博への参加を支援した企業はいずれも、医療機器、AI、ロボティクス分野における第一線の存在であり、各社は製品を披露するとともに、新たな市場との接点を得て、スコットランドへの投資を促進する貴重な機会となりました」とコメントしています。

【企業】

  1. Touchlab:電子皮膚技術により、ロボットや義手に人間のような触覚認識を可能にするロボット工学企業。
  2. Konpanion:感情支援ロボット「Maah」を開発し、孤独感の軽減と心の健康向上に寄与。
  3. Nami Surgical:高精度・低侵襲の小型超音波メスを開発。ロボット手術への応用が期待される。
  4. iGii:独自のナノマテリアルを用いた次世代バイオセンシング技術を展開。医療から環境分野まで対応。
  5. J&D Wilkie:創業150年以上の老舗繊維メーカー。医療・航空宇宙向けの高性能素材を製造。
  6. Talking Mats:言語聴覚士が開発した、視覚的に意思を伝える革新的なコミュニケーションツールを提供。

<スコットランド ヘルステック通商使節団>

– カトリオナ・ブルックスバンク(Katriona Brooksbank)– NHS Greater Glasgow and Clyde、West of Scotland Innovation Hub、イノベーション・リード
–  ヘイゼル・デンプシー(Hazel Dempsey) – 学士、修士、MBA、NHS North of Scotland Innovation Hub、イノベーション・プログラム・リーダー
– デイビッド・ロウ(David Lowe) – スコットランド政府/グラスゴー大学 ヘルスイノベーション 学術/臨床ディレクター
– サマンサ・スミス(Samantha Smith) – サウスイースト地域イノベーション・ハブ シニアイノベーションプログラムマネージャー
– ケン・サザーランド(Ken Sutherland)– Canon Medical Research Europeプレジデント
– レスリー・パーマー(Lesley Palmer)–スターリング大学認知症サービス開発センター(DSDC)高齢化・認知症環境デザイン教授
– ドナ・ヘンダーソン(Donna Henderson) – NHS/スコットランド政府 デジタルヘルス&ケア国際エンゲージメント責任者

通商使節代表団公式資料(英語サイト):
https://storymaps.arcgis.com/stories/7dc6984bbf5844cbb7fe6bcf5a93d0bd (日本語)
https://www.sdi.co.uk/expo-2025-osaka-kansai/scotlands-healthtech-industry-at-expo (英語)

 

スコットランド政府および駐日英国大使館 スコットランド国際開発庁は、万博期間中に「Scotland Day」を全3回にわたり開催いたします。本イベントは、スコットランドの革新的な産業と日本とのパートナーシップ強化を目的に、それぞれ異なるテーマを設け、各分野にフォーカスしたプログラムを展開します。4月17日に開催された最初のイベントでは「ゲームおよび消費者産業」に焦点を当て、今回の「ヘルステック」、9月には「洋上風力産業」をテーマとしたイベントを予定しています。

 

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