
アメリカ中央情報局(CIA)が、中国人民解放軍の将校らに情報提供を呼びかける新たな中国語動画を公開し、中国側が強く反発しています。 背景には、中国軍制服組トップらの「重大な規律違反」などによる失脚が相次ぎ、軍内部に動揺が広がる中で、その不満を取り込もうとするアメリカ側の思惑があるとみられます。 動画は、中国軍の中堅将校とみられる男性が、指導部の腐敗や不正に失望し、CIA側と接触を決断するという短いドラマ仕立てになっていると報じられています。
男性は中国語で「指導者らが守っているのは自分たちの利益だけだ」「彼らの権力は無数の嘘の上に築かれている」と語り、現在の中国共産党指導部を厳しく批判しているということです。 また、「指導力のある者は疑いの目を向けられ、容赦なく排除される」とのセリフも盛り込まれ、中国軍内部の人事や粛清への不満を代弁する内容になっているとされています。
CIAは近年、中国語やロシア語など各言語で情報提供を呼びかけるキャンペーンを強化しており、今回の動画もその一環とされています。 報道によりますと、CIAの担当高官は、この動画が中国本土を含む多くの中国人ユーザーの目に触れていると説明し、中国政府や軍、官僚機構の内部にいる人物に対し、「より明るい未来のために共に取り組む機会」を提供し続ける考えを示したとされています。 内部告発や機密情報の提供を促す狙いが明確になっており、中国共産党体制に不満を抱く層の取り込みを狙った心理戦・情報戦の一環との見方が出ています。
一方で、中国人民解放軍を巡っては、ことし1月、中国共産党中央軍事委員会副主席の張又侠氏や、同委員で連合参謀部参謀長の劉振立氏が「重大な規律違反および法律違反」の疑いで調査対象となったことが国防省から発表され、国内外に衝撃が走りました。 張氏は軍内序列トップ級の制服組要人とされ、習近平国家主席を支えてきた中核メンバーの一人と目されてきただけに、長期にわたる軍幹部粛清が新たな局面を迎えたとの見方もあります。
こうした軍指導部人事の激変は、現場の将校や兵士に不安や不満を広げている可能性が指摘されており、アメリカ側が今回の動画を通じて、そうした「動揺」を情報収集に結びつけようとしているとの分析も伝えられています。
中国外務省は「反中勢力の企て」と強く反発 対立の長期化も
今回の動画公開について、中国外務省の報道官は2月13日の記者会見で、「中国はあらゆる必要な措置を講じ、国家の主権、安全、発展利益を断固として守る」と強調したうえで、「国外の反中勢力による浸透活動の企ては決して成功しない」と強く反発しました。 報道官は、外国の情報機関が中国軍人や公務員を標的にしていると批判し、法に基づいて厳格に取り締まる姿勢をアピールしたとされています。 こうした声明は、CIAの動きに対する警戒感を国内外に示す狙いに加え、軍や官僚機構の内部に動揺が広がることを防ぐ意図もあるとみられます。
中国軍高官の相次ぐ失脚は、習近平政権が進める腐敗摘発や統制強化の一環と説明されていますが、核戦力やミサイル部隊を含む軍中枢にまで粛清が及んでいるとの見方もあり、国内権力構造の不透明さが一段と増しているとの指摘も出ています。
その一方で、アメリカはインド太平洋地域での軍事的競争を背景に、中国軍内部からの情報収集を安全保障上の最優先事項の一つと位置づけており、今回の動画は、オンラインプラットフォームを通じたスパイ勧誘の象徴的な事例となっています。 今後、中国側が情報保全や内部統制を一層強めることは確実視されており、サイバー空間や情報戦を含む米中対立は、軍事・経済に続いて「諜報」の分野でも長期化・先鋭化していく可能性があります。












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