
街中で見かける電柱の上で配線をさばく電気工事の技能者。人手不足が深刻化するなか、関電工では高卒で入社した技能者が現場で経験を積み、工事チームを率いる作業長まで成長した場合、年収1000万円を超えることもあります。
電気工事士をめぐる人手不足は、少子高齢化に加え、技能者の高齢化も同時進行していることが大きな課題です。 経済産業省の試算によると、2020年代前半から第一種電気工事士は約2万人不足しており、第二種電気工事士も2045年には約3千人の供給不足が見込まれています。
一方で、データセンターやエネルギー設備の増強などにより電気工事の需要は右肩上がりで、需要が供給を大きく上回る構図です。
賃金制度では、基本給に加えて現場での成果に応じた「能率給」を重視する企業が増加傾向です。この仕組みは、若手にとっても「やれば報われる」キャリアとして映りやすく、現場に踏みとどまるインセンティブになっています。
また、寮や資格取得支援、完全週休2日制の導入など、労働環境の改善で入職と定着を図る動きも大手電気工事会社や建設関連企業で広がっており、技能職全体の底上げが進んでいます。
現場の人手不足を受け、関電工は待遇改善に踏み切りました。2025年4月には技能職(高卒)の初任給を一律5万円引き上げ、月給26万円としました。併せて手当も見直し、賃金水準を底上げしています。さらに57歳や60歳を超えると給与が下がりやすかった仕組みも改め、現場で活躍している限りは給料を減らさない制度へ切り替えました。
電気工事技能者争奪戦と地方・中小への波及
電気工事士の不足は大都市圏だけでなく、地方の中堅・中小企業にも広がっています。東海地方の電気工事会社などは、熟練者の高齢化により受注量に対して施工力が追いつかず、若手採用を強化している状況です。
大手企業が高卒初任給や手当を相次いで引き上げるなか、賃金水準で劣る中小企業は採用競争で不利になりやすく、人材獲得のために福利厚生や柔軟な働き方、地域密着の魅力を打ち出す必要に迫られています。
AIの普及でホワイトカラー職の効率化が進む一方、電気工事のように現場で身体を動かしながら高度な技能を発揮する仕事は、代替が難しい分だけ価値が高まりやすいとされています。年収1000万円超の関電工技能者という事例は、高校生の進路選択の幅を広げる材料として、また技能職の社会的評価を高めるきっかけになりそうです。










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