カナダ政府は31日、たばこ1本ずつに健康被害リスクの警告文表示を義務付ける措置を、世界で初めて導入すると発表しました。カナダでは、これまでも商品パッケージにイラスト付きで警告表示をしてきましたが、5月31日の「世界禁煙デー」に因んで、国民の禁煙を加速させるために規制を強化する見通しです。
「世界禁煙デー」は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう、さまざまな取組を講ずるべきであるという世界保健機構(WHO)の決議によって設けられたものです。また、厚生労働省は1992年から、毎年5月31日から6月6日までを「禁煙週間」と定めています。
8月1日施行の新規制では、たばこ本体に「一服ごとに毒」や「たばこはがんを引き起こす」などの警告文が印字されます。レギュラーサイズのたばこに関する小売店は、準備期間を経て2025年4月末までに、警告文付きのたばこに切り替える必要があるとのことです。
ネット上では、「たばこ一本一本に書く意味が良くわからない」「ここまでするなら禁止にすれば良いのに」「なんだかなあ、偏執的に思える」など、否定的な意見が多くあがっています。
日本の禁煙事情とたばこによるリスク
日本でも禁煙に対して賛成する声が多数あがっており、喫煙所の撤去や喫煙を禁止にする飲食店が増加傾向にあります。また、たばこは年々値上げされており、2024年以降も段階的にたばこ税が増額される見通しです。
ここまで禁煙が後押しされているのは、やはりたばこによるがんリスク向上問題です。たばこの煙のなかには、たばこに含まれる物質と、その物質が不完全燃焼することで生じる化合物、合わせておよそ5,300種類の化学物質が含まれています。
このなかには、約70種類の発がん性物質が含まれているとのことで、有害な物質はたばこを吸うと肺に入り、血液を通じて全身に運ばれるため、DNAを傷つけるなどでがんの原因になるとされています。
がん情報サービスの「がんの発生や治療へのたばこの影響」によると、日本の研究ではがんになった人のうち、男性でおよそ24%、女性でおよそ4%はたばこが原因だと考えられているとのことです。また、がんで死亡した人のうち、男性で約30%、女性で約5%はたばこが原因だと考えられています。
この事実は世界的に知られているため、禁煙を促す国や地域が増加傾向にあります。今回カナダで新規制が発表されたのも、たばこによる健康被害リスクがあってのことです。