イラン、米停戦案を拒否 ホルムズ海峡「主権」巡り協議難航の様相

海峡を渡るタンカー

イランが、アメリカが提示した停戦案を受け入れず、ホルムズ海峡での主権承認など5項目の条件を逆提案したことが明らかになりました。 イラン国営メディアは25日、高官の話として、米側の15項目の要求は「過剰」であり、戦闘終結の時期と条件はイランが主導して決めるべきだとの姿勢を強調しています。

条件には、侵略や暗殺の完全停止、戦闘再発防止の枠組み構築、賠償金の支払い、親イラン組織を含む地域全体の戦闘終結に加え、ホルムズ海峡におけるイランの主権承認が含まれるとされています。 親イラン組織には、イスラエルと交戦してきたレバノンのヒズボラなどが念頭にあるとみられます。

これに対し、米国はパキスタンを仲介役として、イランに対し15項目からなる停戦案を提示しており、核関連施設の解体やウラン濃縮の禁止、中東各地の親イラン勢力への支援停止、ホルムズ海峡の開放などが盛り込まれていると報じられています。 見返りとして、対イラン制裁の解除や南部ブシェールの原子力発電所プロジェクト支援などのインセンティブを示したとされています。 トランプ米大統領は停戦交渉の進展を図る構えですが、条件面の隔たりは大きく、協議の難航が避けられない情勢です。

ホルムズ海峡をめぐる駆け引きも緊迫しています。イランは、米国が同国の発電所を攻撃した場合には海峡を「完全封鎖」すると警告する一方、国際海事機関(IMO)加盟国には「非敵対的船舶」の通過は容認する立場も示しており、自国の圧力カードとして海峡を機動的に使い分けている格好です。

実際に海峡の事実上の封鎖が続くなかで原油価格は高止まりし、米国では軍事作戦継続の負担やエネルギー価格高騰への不満が高まっています。 トランプ氏は将来的にホルムズ海峡をイラン最高指導者との「共同管理」とする考えにも言及しており、戦闘終結と海峡管理の在り方が一体の政治交渉となりつつあります。

「12日間戦争」後の不信とイスラエルの警戒

今回の停戦協議の背景には、2025年6月の「12日間戦争」を含む一連の核交渉の経緯が横たわっています。 イスラエルは2025年6月にイランのナタンズやフォルドゥなど主要核施設を空爆し、その後イランが報復、米国が参戦する形で軍事衝突が拡大しました。 当時も米トランプ政権主導の停戦案で戦闘は収束したものの、核開発をめぐる根本的な溝は埋まらず、イラン側には「交渉の最中に攻撃を受けた」との強い不信が残ったと指摘されています。

今回も、イランは核開発の「平和利用」を主張しつつ、米国からの先制攻撃や制裁強化を背景に、今後の協議では将来の軍事行動を行わない保証や戦時損失への補償、ホルムズ海峡の正式な支配など、米側にとって「越えてはならない一線」とされる譲歩を強く求めていると報じられています。 一方、イスラエルのネタニヤフ首相はイランの軍需産業に最大限の打撃を与えるよう軍に指示しており、米国の15項目案の内容を把握したうえで、米・イラン間の対話がイスラエルの安全保障を損なう展開にならないか警戒を強めています。

イランのアラグチ外相は、自国が仲介者を通じたメッセージ交換には応じているものの、「これを米国との直接交渉とはみなさない」と強調しており、国内の強硬派への配慮もにじみます。 米側では、レビット大統領報道官がイラン軍事力に「大規模な打撃」を与えたと主張し、現実を受け入れなければ「これまで以上に激しい攻撃」を辞さない構えを示すなど、圧力と対話を併用する姿勢です。 ホルムズ海峡の管理を含む停戦案が妥結しない場合、イランがドローン攻撃などで消耗戦に持ち込みつつ、原油市場を通じて国際社会に揺さぶりをかける展開も懸念されています。

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