
帝人グループの株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC、愛知県蒲郡市)は22日、再生医療製品「ジャック」が変形性膝関節症向けに1月1日付で保険適用されたと発表しました。この疾患による膝の痛みを抱える高齢者は多く、国内の患者数は自覚症状を有する方で約1000万人に上ると推定されています。従来の治療に比べ、長期的な症状の改善や根治につながると期待されています。
変形性膝関節症は、加齢や外傷などで膝の軟骨がすり減り、関節の隙間が失われることで痛みや変形が起こる疾患です。進行すると歩行が困難になり、日常生活に大きな支障をきたします。
これまでの治療では、ヒアルロン酸注射などの薬物療法や運動療法といった保存的治療、さらには人工関節を埋め込む手術などが行われてきました。しかし、軟骨そのものを修復する根本的な治療法は存在しませんでした。
ジャックは、患者自身の健康な膝の軟骨組織から軟骨細胞を採取し、特殊なコラーゲンで包み込み約1カ月間培養した再生医療等製品です。広島大学の越智光夫学長(現在は安達伸生教授が研究を継続)と共同で開発し、2012年に承認されました。2013年には外傷性軟骨欠損症および離断性骨軟骨炎を対象に保険適用されています。
広島大学などによる変形性膝関節症の患者を対象とした臨床試験では、ジャックの安全性と有効性が確認されました。治療開始52週後のWOMACスコア(膝の痛み、こわばり、身体機能を評価する指標)の変化量は、ヒアルロン酸群が-5.19であったのに対し、ジャック群では-20.39と統計的に有意な改善を示しました。階段の上り下りや歩行時に膝の痛みを訴えていた患者が、日常生活に支障がなくなるほどまで改善したケースも報告されています。
さらに注目すべきは、ジャック群の97.4%で硝子軟骨様組織による修復が認められた点です。一方、ヒアルロン酸群では硝子軟骨様組織による修復は全く認められませんでした。
患者自身の細胞で軟骨修復 年間1000人への供給目指す
治療では、まず患者から正常な軟骨細胞を採取し、特殊なコラーゲンで包み細胞を約1か月かけて増殖させた後、軟骨の欠損部分に移植します。手術は豊富な治療経験を持つ医師のみが実施可能です。広島大学大学院教授(整形外科)の安達伸生氏は「初期段階の患者が移植を受けることで、将来的に人工関節に至るのを防ぐ可能性がある」と述べました。
ジャックの保険償還価格は289万円ですが、保険が適用されることで患者は高額療養費制度を活用できます。ジャパン・ティッシュエンジニアリングは、数年以内に年間1000人の患者への供給を目指しており、再生医療を身近なものにするため製品を広く供給していきたいとしています。

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