
トランプ米大統領が、イランのエネルギー関連インフラや発電所への攻撃計画を5日間延期すると表明し、中東情勢を巡る緊張が新たな局面を迎えています。 トランプ氏は、米特使のウィトコフ氏と娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問がイラン側要人と「実りある会話」を行い、すでに「重要な合意点」があると主張しつつ、交渉の行方次第では攻撃に踏み切る選択肢も残していると強調しました。 一方、イラン側は米国との交渉を否定する発信を行っており、米イラン双方の主張が食い違う中で、戦闘の早期終結に向けた見通しは依然として不透明です。
米国とイスラエルは2月28日に対イラン攻撃を開始しており、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖するとともに、湾岸諸国の製油所やエネルギー施設への攻撃を続けています。 世界の原油やガス輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖とエネルギー施設の被害を受け、WTI原油先物価格は1バレル67ドル前後から一時120ドル近くまで急騰し、その後も高止まりする展開となっています。 トランプ氏はこれまで、ホルムズ海峡が48時間以内に開放されなければイラン国内の発電所を「壊滅させる」と警告する一方で、追加攻撃は望まない姿勢も示しており、市場や同盟国に混乱を与える発言が相次いでいます。
トランプ氏は今回、ホルムズ海峡について米国とイランが共同管理する可能性に言及し、「うまくいけば封鎖は近く解除される」とも述べたと報じられています。 しかし、イランは米国が発電所を攻撃すれば、ペルシャ湾岸諸国のエネルギーインフラや情報技術、水関連施設などを報復攻撃すると警告しており、軍事的エスカレーションのリスクは依然高い状況です。 トルコやサウジアラビア、オマーンなど中東諸国は、戦争の封じ込めと停戦合意を模索する水面下の仲介に関与しているとされ、今週以降、米イラン代表団が第三国で会談する案も取り沙汰されています。
国際エネルギー機関(IEA)は、中東9カ国にある多数の油田、製油所、パイプラインなどが深刻な損傷を受けていると指摘しており、紛争が終結しても世界のエネルギー供給網の混乱は長期化する可能性が高いとみられます。 原油価格の高騰は、日本を含む各国の物価やエネルギーコストを押し上げる要因となっており、日本国内でもホルムズ海峡封鎖が家計や企業活動に与える影響を懸念する声が強まっています。 こうした中、トランプ政権はインフレ抑制と中東での軍事作戦の両立を模索しているとされ、エネルギー施設への攻撃可否が外交・安全保障と経済の両面から重い判断材料になっています。
激化する戦闘と高まる人道危機、停戦への道筋は見えず
対イラン攻撃開始から時間が経過する中で、中東全域の死者はすでに数千人規模に達しており、その大半をイラン側が占めると伝えられています。 レバノンでは、親イラン勢力ヒズボラとの戦闘激化により死者が1000人を超え、人道危機の深刻化が国際社会の懸念材料となっています。 イランは、イスラエルのガス田や関連施設への空爆への報復として、イスラエル南部や湾岸諸国に対するミサイル・ドローン攻撃を継続しており、核関連施設近辺でも被害が出ていると報じられています。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの核・ミサイル能力を完全に破壊することに加え、イラン国民が指導部を打倒するための「条件を整える」ことを軍事目標として掲げており、妥協をにじませない姿勢です。 トランプ氏も、戦争開始の理由としてイランの核兵器開発能力の排除を挙げる一方、イラン側は核兵器開発を追求しているとの指摘を否定しており、双方の立場は鋭く対立しています。 こうしたなか、5日間の攻撃猶予とされる短い時間で実質的な停戦合意に到達できるかは不透明であり、イラン側が新たなミサイル攻撃を行えば、トランプ氏が再び大規模攻撃に踏み切る可能性も否定できません。
米政権内部や専門家の間では、トランプ氏の「攻撃再開をちらつかせつつ交渉を強調する」発信が、イラン側を揺さぶる一方で市場や同盟国の不信を招きかねないとの指摘も出ています。 それでも、ホルムズ海峡封鎖が続く限り世界経済への影響は避けられず、原油価格や海上輸送の安定化には、米イラン双方が何らかの妥協点を見いだすことが不可欠だとみられます。 今回の5日間の猶予が、軍事作戦拡大の前哨戦となるのか、それとも停戦への「終わりの始まり」となるのか、国際社会の視線が集中しています。












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