JAXA、新型ロケット「H3」2号機の打ち上げ成功 超小型衛星の分離も確認

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前9時22分、種子島宇宙センターから新型主力ロケット「H3」2号機を打ち上げました。このロケットは、予定された高度約680キロに到達し、搭載されていた超小型衛星を正確に分離することに成功しました。

この成功はH2Aロケットの後継機として期待されるH3が、今後20年にわたり日本の宇宙輸送を担うための重要な一歩となります。H3ロケットの開発は2014年に始まり、初号機の打ち上げは2023年3月に行われましたが、電源系統の不具合により失敗しました。

この経験を踏まえ、JAXAと共同開発者である三菱重工は2号機に再発防止策を施しました。2号機の打ち上げは、ロケットの性能確認を目的としており、初号機で失われた模擬衛星と共に2機の超小型衛星が搭載されました。JAXAによれば、1、2段目のエンジンは予定通り燃焼し、打ち上げ後約17分に超小型衛星「CE-SAT-1E」を分離したとのことです。

H3ロケットは全長約63メートル、直径約5.2メートルで、H2Aよりも一回り大きく設計されています。打ち上げ能力を約1.3倍に高め、コスト削減のために既製部品の使用や3Dプリンター技術を活用し、打ち上げ費用を約50億円に抑えることを目指しています。

ネット上では、「他国に誇れる産業として成長して欲しいものです」「打ち上げ成功で何より。おめでとうございます」「本当に良かった!」などの意見がみられました。

JAXAが記者会見を開く 「こんなにうれしい日はない」

「H3」2号機の打ち上げ成功を受け、JAXAは17日午後0時半過ぎから記者会見を行いました。会見の冒頭では、JAXAの山川宏理事長が「ロケットは計画通りに飛行し機体を所定の軌道に投入し衛星を分離できたことを確認した」と述べた上で、「H3ロケット試験機1号機の打ち上げ失敗を受け原因究明に真摯に向き合い、再発防止に向けて全力を挙げて取り組んできた」とコメントしました。

また、続けて「本日、打ち上げの結果を報告できたことに安どしている」「宇宙業界に長らくいるがこんなにうれしい日はなく、こんなにほっとした日はない」と、打ち上げ成功について自身の感慨を表しました。

開発責任者である岡田匡史プロジェクトマネージャは、今回の打ち上げ成功を「満点」と評価し、H3ロケットの今後の成長に対する期待を語りました。「ロケットの失敗はやってはいけないことです。ただ、失敗があるとエンジニアはものすごく強くなる。この1年で強くなったエンジニアに後はよろしく頼むぞという思いです」と、これまでのロケット開発の経験を次世代に伝える重要性を強調しました。

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