
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、イランの報復が湾岸アラブ全域に広がりつつあります。
湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国すべてに加え、イラクやヨルダンなどにも弾道ミサイルや無人機(ドローン)が飛来し、エネルギー関連施設や民間インフラが相次いで被害を受けています。UAEでは2月末からミサイルとドローンによる攻撃が断続的に続き、迎撃の破片落下などにより市街地でも死傷者が出ました。
UAE国防省は、国内でパキスタン人、ネパール人、バングラデシュ人の3人が死亡したことを明らかにしており、湾岸経済を支える外国人労働者も直接の被害を受けています。クウェートでも1人の死亡が確認されるなど、これまで比較的安定したビジネス拠点とされてきた湾岸地域の「安全神話」は大きく揺らいでいます。
カタールでは、世界最大級の液化天然ガス(LNG)生産・輸出拠点である北部ラスラファン工業都市の施設が、イラン発のドローン攻撃で稼働を中断しました。カタールエナジーは、ラスラファンおよびメサイードの施設が軍事攻撃を受けたとしてLNGと関連製品の生産停止を発表し、輸出契約について不可抗力宣言(フォースマジュール)に踏み切っています。
世界のLNG生産量の約5分の1を占めるカタールの供給減少は、アジアと欧州の主要輸入国にとって調達リスクの高まりを意味し、国際ガス価格の上昇要因となっています。湾岸諸国の石油・ガス施設に対する攻撃は、サウジアラビアの石油インフラにも及んでおり、エネルギー市場全体の不安定化と供給途絶リスクが意識される状況です。
日本企業の駐在員や現地拠点にも影響が出始めています。湾岸地域の空港や港湾が一時的に機能停止や制限を余儀なくされ、金融市場や観光産業も含め事業活動は新型コロナ禍以来で最大規模の混乱に直面しているとされています。
日本政府は中東情勢の緊迫を受けて国家安全保障会議(NSC)を開催し、自衛隊による在留邦人輸送の準備などを含め対応方針を協議しました。中東産原油・LNGへの依存度が高い日本にとって、ホルムズ海峡の安全確保と湾岸エネルギーインフラの安定運用は、エネルギー安全保障の核心課題となっています。
湾岸アラブの結束強化と中国外交への打撃 制御困難なエスカレーション懸念
GCCは、湾岸諸国とヨルダンなどを標的としたイランの攻撃を「地域と世界の安全を脅かす不当な行為」と位置づけ、領土と国民・居住者を守るために必要なあらゆる措置をとる権利を確認する声明を出しました。
住宅地や空港、港湾、ホテルなどの民間施設が攻撃対象となったことへの危機感は強く、湾岸諸国は対イランでの連携を強めています。近年、イエメン政策や経済利権を巡る対立が指摘されてきたサウジアラビアとUAEも、今回の一連の攻撃を受けて「共通の脅威」を前に再接近の動きを見せています。
こうしたなか、米国とイスラエルによるイラン攻撃からイランの湾岸報復に至るまでの指揮系統や意思決定過程には混乱も見られ、瀬戸際戦術が制御不能な事態を招く危うさが指摘されています。トランプ米大統領はイランへの軍事行動が4〜5週間以上継続する可能性に言及し、紛争の長期化リスクが高まっています。
紛争の構図は、イランと湾岸アラブ諸国との対立が再び前面化する形となり、イランとアラブ諸国の和解を仲介してきた中国の中東外交には明らかな打撃となっています。中国は、カタール産LNGを含むエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全確保を巡り、イラン側に輸送妨害行為を控えるよう圧力をかけているとされ、中東での利害調整の難しさが浮き彫りになっています。
こうした情勢の下で、日本のエネルギー安全保障は、湾岸情勢の推移に強く左右される局面が続くとみられます。




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