イスラエルとパレスチナ自治区ガザのハマスが衝突を続ける中、隣国であるレバノンのヒズボラとも国境で対立しています。ヒズボラが本格的に介入すると、イスラエルは南北二正面の戦況をもたらし、地域的な紛争に拡大する危険性があります。
11日にはイスラエル北部の軍基地がヒズボラのミサイル攻撃を受け、イスラエル軍はこれに空爆で応じました。ヒズボラとイスラエル兵士の間で死者が出ており、8日からの攻撃が続いています。
レバノン南部はイスラエルに敵対するイランの支援を受け、イスラエルへの攻撃を強化しています。ヒズボラは7日の声明で、攻撃は「イスラエルによる長年の占領への断固たる対応だ」と評価しました。
ヒズボラの判断に影響を与えているのはイランの存在であり、ハマスの攻撃への関与についても疑惑があがっています。エジプトのイスラム組織研究者であるタリク・シャビシ氏は、「ヒズボラの判断はイランの決定次第だ。ヒズボラが参戦すれば、中東全域が絡む際限のない紛争になりかねない」と指摘しています。
ヒズボラは2006年のレバノン戦争での経験を持ち、シリア内戦を通じてさらに力を付けており、イスラエルにとって「イランと並ぶ脅威」と位置付けられています。
米国がイスラエル近海に空母打撃群を派遣
紛争の拡大を懸念した米国は、イスラエル近海に原子力空母「ジェラルド・フォード」を含む空母打撃群を派遣しました。これは、イランやヒズボラに対する明確なメッセージと見られています。
ヒズボラはイスラエルによる1982年のレバノン侵攻への対抗措置として、イランの後押しで設立された武装勢力です。レバノン政治において重要な役割を担っており、米国からはテロ組織とみなされています。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とイランのエブラヒム・ライシ大統領は、ガザ情勢に関する電話会談を11日に実施しました。両首脳は「パレスチナに対する戦争犯罪を阻止する必要性」について議論を重ね、イスラム圏の結束を強調しました。
皇太子は「情勢緊迫化を止めるため、可能な限りの努力をしている」とパレスチナを支える立場を表明しています。サウジアラビアは米国の仲介を経てイスラエルとの国交正常化を進めていましたが、イスラエルとハマスの軍事的衝突を受け、交渉が複雑になるという見方も出ています。
ネット上では、「武力で相手を抑えても結局は武力でやり返される可能性があるという感じがします」「いよいよ中国の台湾侵攻が近いかもしれません」などの意見が寄せられています。