
NASA(アメリカ航空宇宙局)は1月27日(現地時間)、AIツール「AnomalyMatch」を用いてハッブル宇宙望遠鏡のアーカイブ約1億枚の画像を解析し、1300個以上の「異常な天体」を発見したと発表しました。
このツールはNASAとESA(欧州宇宙機関)の研究者が共同で開発しました。発見された異常な天体のうち、800個以上は科学文献に未掲載の新発見で、解析にかかった時間はわずか2日半です。
天体の内訳は多岐にわたります。大半は銀河の合体や相互作用で、歪んだ形状や、星とガスが尾のように長く伸びた「ストリーム」と呼ばれる構造がみられました。また、手前の銀河の重力によって時空が歪み、背後の銀河の光が弧や環の形に曲がる「重力レンズ効果」を示す銀河も確認されました。
このほか、銀河団の中を高速で移動する際にガスが触手のように引き伸ばされる「クラゲ銀河」や、側面から観測するとハンバーガー状になる惑星形成円盤も発見されています。数十個の天体は既存のどの分類体系にも当てはまらず、詳細な分析が必要です。
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年の打ち上げから35年間にわたり、170万回以上の観測を実施してきました。しかし、蓄積された膨大なアーカイブ全体を人間が手作業で調査することは現実的に不可能でした。
ESAの研究者であるデビッド・オライアン氏とパブロ・ゴメス氏が開発したAnomalyMatchは、人間の脳による視覚情報処理の仕組みを模倣したニューラルネットワークです。データ内のパターンを認識することで、稀な天体を検出するように訓練されています。
AIと専門家の協働で効率的な発見プロセスを実現
今回の研究で確立されたのは、AIと専門家が役割分担して大規模データを解析する新しいワークフローです。AnomalyMatchがまず異常な可能性のある天体の候補を絞り込み、その後オライアン氏とゴメス氏が上位の候補を手動で精査して真の異常天体を確認するという手法が採用されました。
この人間とAIの協働アプローチにより、ハッブルレガシーアーカイブ全体を対象とした初の系統的な異常天体探索が実現しました。
ゴメス氏は今回の成果について「AIがアーカイブのデータセットにおける科学的成果をいかに高められるかを示す強力な事例」と説明。NASAは今後、ハッブル宇宙望遠鏡だけでなく、他の宇宙望遠鏡や天文台のアーカイブを調査するうえでもAnomalyMatchのようなAIツールが役立つと期待を寄せています。
ESAの宇宙望遠鏡「ユークリッド」、2025年に本格稼働したベラ・ルービン天文台、2027年5月までの打ち上げが予定されているナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡など、次世代の観測施設が生成する巨大なデータの解析においても、同様のAI技術が活用される見込みです。








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