数万年前の日本列島にライオンが生息 DNA分析でトラ説を覆す

数万年前の日本列島にライオンが生息 DNA分析でトラ説を覆す

総合研究大学院大学や北京大学などの国際研究チームが、日本列島に数万年前に生息していた大型ネコ科動物の正体を最新のDNA分析技術で解明しました。これまでトラのものと考えられていた国内の化石標本を詳細に分析した結果、絶滅種「ホラアナライオン」であることが判明。この研究成果を報告した論文は、2026年1月30日までに米科学アカデミー紀要に発表されました。

研究チームは、日本各地で見つかった化石化が進んでいない「亜化石」と呼ばれる標本26点から、残存する有機物を採取しました。その結果、青森、静岡、山口の計5標本からミトコンドリアDNAや細胞核のDNA断片、タンパク質などを回収することに成功。これらを海外のデータと比較したところ、いずれもホラアナライオンのものと特定されました。

特に保存状態が良好な約3万5000年前の1標本からは、遺伝子の情報量が多い細胞核のDNAなども抽出できています。

日本では数万年から十数万年前の地層で大型のネコ科の化石が見つかっていましたが、現在の分布状況や比較的温暖で湿潤な日本の環境から、長らくトラのものと考えられてきました。しかし今回のDNA分析により、ホラアナライオンが後期更新世の日本列島に広く分布していたことが判明し、従来の見解が覆されることになりました。

かつてユーラシア大陸の北側にはホラアナライオン、南側にはトラが分布し、その間には両者がせめぎ合う「移行地帯」が存在したとされています。日本列島はこの移行地帯の東端に位置することから、研究チームは、ライオン生息の可能性があるとみて最新技術で検証しました。

古代日本でライオンと人類が共存していた可能性も浮上

氷河期に海面が低下し、日本北部と大陸が陸橋でつながった約6〜7万年前以降に、ホラアナライオンが流入したとみられます。一方、人類は約3〜4万年前以降に日本列島に到達したとされており、ライオンと人類が同時期に日本で暮らしていた可能性が浮上しています。

研究チームの蔦谷匠・総合研究大学院大助教(生物人類学)は「ライオンと人類が同時期に日本で暮らしていた可能性がある」と解説。また蔦谷助教は「ライオンとトラの相互作用や生態系への影響を考えるための重要な成果だ」とも述べています。

今回の研究成果について、瀬川高弘・山梨大学講師(古代DNA)は「複数のDNAを解析しており、精度の高い研究だ。今後は他の化石も分析し、詳しい分布状況を明らかにしてほしい」とコメントしています。

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