19日から20日にかけて、ウクライナのザポリージャ原発にて大きな爆発が相次ぎました。原発に常駐しているIAEAの専門家は、20日朝の短い時間に12回以上の爆発音を聞き、窓から一部の爆発を確認したとのことです。
この爆発により、放射能流出や電力不足などの問題が懸念されています。ウクライナとロシアは互いに「相手国がやったことだ」と主張していますが、IAEAのグロッシ事務局長は「誰の行為であろうと、いますぐ砲撃をやめなければならない」と訴えています。
IAEAは原発の管理者からの情報として、原発の敷地内の建物やシステム、装置の一部に被害が出ていると伝えました。ただ、いまのところ重大な問題は起きておらず、死傷者の報告もないとしています。
両者は互いを非難しており、ウクライナ側はロシア軍がウクライナ国民への電力供給を妨害しようとしていると語った一方、ロシア側はザポリージャ原発で起きた爆発はウクライナ軍による砲撃の結果だと述べています。
ロシアの攻撃によりウクライナ全土で緊急停電を実施
23日、国内インフラ施設が広範囲にわたってロシアの攻撃を受けた影響もあり、ウクライナの国営電力会社ウクルエネルゴは、全土で緊急停電を実施したと明らかにしました。
ウクライナのエネルギーインフラは10月中旬以降、繰り返しロシアの攻撃を受けており、深刻な損傷が出ていると報じています。これ以上の技術的な問題を防ぐために緊急停電が必要であった、とウクルエネルゴはFacebookで説明しました。
また、23日の攻撃では首都キーウで複数の爆発音が聞かれたとクリチコ市長らがコメントするなど、インフラ施設の被害を訴えています。この問題について、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は、「ロシアのテロリストがウクライナのエネルギー施設を破壊しようとしている」と述べました。
ロシア軍による全土への攻撃に対し、ネット上の著名人は「民間人を狙う攻撃は非人道的である」「ロシア軍は暗闇と極寒に陥れようとしている」などとコメントしています。
なお、アメリカ国防総省は23日、これまで実施したウクライナへの軍事支援の総額を公表しました。この公表によると、2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、総額で約190億ドル(約2兆6,000億円)の軍事支援を行っていたとのことです。
また、国防総省は「アメリカはウクライナの自衛のための追加の能力を供与するため、同盟国などと取り組みを続ける」と、軍事支援を継続する姿勢を強調しました。