GoogleがAndroid端末の盗難対策となる新機能を発表 ブラジルの携帯電話の盗難被害が深刻化
IT大手の米Googleは11日、ブラジルで携帯電話の盗難対策となる新機能の提供を発表しました。同国では携帯電話の盗難被害が深刻化しており、毎分2台のペースで携帯が盗まれているという状況が続いています。
この「盗難検知機能」は、Googleの基本ソフト(OS)「Android」(アンドロイド)を搭載した携帯が対象です。人工知能(AI)が端末の動きからひったくりや置き引きの可能性を察知すると、即座に画面をロックします。
徒歩や自転車、車を使ったひったくりにも対応するほか、犯罪者が追跡を避けるためにインターネット接続を遮断した場合も自動でロックがかかるとのことです。
7月からブラジル国内でアンドロイド10以上の端末を対象に試用が始まります。世界初の取り組みですが、英国など他の国でも携帯のひったくり被害が多発していることから、2024年後半には全世界での提供を目指しています。
Googleは現地を訪れて盗難の手口を詳細に分析。AIの検知精度を高めることで、ブラジルにおける携帯盗難の撲滅に貢献したい考えです。
ブラジルの犯罪率の高さが深刻化 スラム街「ファベーラ」
ブラジルは美しい自然や文化で知られる国ですが、犯罪率の高さが深刻な問題となっています。特に薬物に絡む組織犯罪が頻発し、凶悪な手口で一般市民を巻き込む事件が後を絶ちません。
リオデジャネイロ州の2022年の統計によると、人口10万人当たりの殺人事件数は約19.06件、強盗事件数は約675.64件と、前年から増加傾向にあります。観光地でも、銃器やナイフを使った強盗、置き引き、ひったくりが発生しています。
特に注意が必要なのが、「ファベーラ」と呼ばれるスラム街です。犯罪者の温床となっており、立ち入ると命の危険すらあります。ツアーへの参加も含め、決して近づかないようにすることが大切です。
街中では、徒歩中に突然ひったくりに遭う危険性が高いほか、けん銃などで脅し、金品を奪う短時間誘拐も頻発しています。車の乗降時や停車時は特に警戒が必要です。
また、クレジットカードの不正利用も多発しているため、利用明細の頻繁なチェックが求められます。ただし、犯罪者は瞬時にスキミングを行うことから、完全には防ぎきれない面もあります。
警察の警戒が厳しい場所でも油断は禁物です。ブラジルを訪れる際は犯罪の危険性を十分に理解し、対策を講じるようにしましょう。