茨城県、不法就労対策に「報奨金付き通報制度」を導入へ クリーンな雇用環境の実現を目指す

通報しようとスマートフォンを操作するする女性の手

茨城県は2026年2月18日、令和8年度当初予算案において、不法就労している外国人に関する情報を募り、県警の摘発に繋がった場合に情報提供者へ数万円程度の「通報報奨金」を支払う新制度を盛り込んだことを発表しました。この制度は、不法就労という法秩序を乱す行為に対して自治体が主体となって対策を講じる全国初の試みとして注目を集めています。茨城県内では不法就労者の摘発数が全国的に見ても非常に多い状況が続いており、大井川和彦知事は「抜本的な対策が必要だ」として、この新制度の導入を決定しました。

法務省のデータ(2025年7月時点)によれば、全国の不法残留者数は約7.1万人に上ります。そのなかでも茨城県は、2024年の不法就労者の摘発数が3452人と3年連続で全国最多を記録しています。こうした背景から、県は「不法就労の温床を断ち切る」という強い意志を持って、今回の施策を打ち出しました。

実は、報奨金を伴う通報制度自体は新しいものではありません。国レベルでは出入国管理及び難民認定法(入管法)第66条に基づき、1951年から同様の制度が運用されています。通報によって退去強制令書が発布された場合、5万円以下の報奨金が支払われる仕組みです。今回の茨城県の施策は、この国の制度を自治体レベルで補完し、より地域の実情に即した形で強化するものと言えます。

大井川知事は記者会見において、「不法就労が全国トップクラスという不名誉な状況を打破しなければならない」と強調しました。同時に、「ルールを守って真面目に働いている多くの外国人労働者の方々が不安を感じるような運用には決してしない」と明言しています。この制度の真の目的は、不適切な雇用形態を是正し、正規の手続きを経て日本社会に貢献している外国人の権利を守ることにあります。

ネット上ではこのニュースに対し、「法を犯している以上、厳正に対処するのは当然だ」「不法就労が減ることで地域の治安維持に繋がる」「正当な手続きを踏んでいる人が損をしない社会にするべきだ」といった、県の積極的な姿勢を支持するポジティブな声が多く寄せられています。一方で、「差別を助長しないような配慮が必要だ」という慎重な意見もありますが、県側は厳格なガイドラインに沿った運用を徹底する方針です。

地域社会の安全と信頼を守るための決断。大井川知事が語る制度の意義

茨城県が発表した「通報報奨金制度」は、単なる摘発強化だけではなく、地域社会における「ルールの遵守」を再確認するための重要なステップという位置づけです。不法就労は、不当に低い賃金での労働を強いるなど、外国人本人の人権侵害に繋がるケースも少なくありません。県が主体となってこの問題に取り組むことは、結果として外国人労働者の適切な労働環境を確保することに直結します。

大井川知事は2月18日の定例記者会見で、「不法就労の背景には、それを助長する雇用主やブローカーの存在がある。そこに対しても強いメッセージを送る必要がある」と述べました。不法就労を放置することは、適正な雇用を行っている企業の競争力を削ぐことにもなりかねません。公平な経済活動を維持するためにも、この制度が果たす役割は大きいと期待されています。

県警との連携も強化されており、通報情報の精査には専門的な知識を持つ担当者が当たります。これにより、虚偽の通報や嫌がらせ目的の通報を排除し、実効性の高い摘発に繋げる体制を整えています。また、県は今後、多言語での相談窓口の充実や、不法就労防止に向けた啓発活動も並行して進めていく方針です。

今回の茨城県の取り組みは、不法就労という長年の課題に対し、自治体が責任を持って向き合う姿勢を示すものです。これがモデルケースとなり、他県でも同様の議論が活発化することで、日本全体の外国人受け入れ環境がよりクリーンで透明性の高いものへと進化していくことが期待されています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 実質賃金4年連続マイナス 物価高で名目賃上げの効果実感できず
    実質賃金が4年連続マイナスとなる一方で、名目賃金は5年連続で増加し、賃上げの動きが続く中でも物価高に…
  2. フジHD、村上氏側残存株を市場売却へ 清水社長確認で対立収束に
    フジ・メディア・ホールディングスは9日、5日に実施した自社株買いで買い付けられなかった村上世彰氏側の…
  3. 小型ロケット開発のスペースウォーカーが破産 国の補助打ち切りで資金繰り悪化
    小型ロケットの開発を目指していた宇宙ベンチャー企業「SPACE WALKER(スペースウォーカー)」…

おすすめ記事

  1. 2023年11月4日(土)に第51回横浜矯正展が開催された横浜刑務所の入り口

    2023-12-29

    『横浜刑務所で作ったパスタ』で大行列!刑務所見学もできる横浜矯正展とは?

    横浜矯正展は、横浜刑務所、横浜少年鑑別所、公益財団法人矯正協会刑務作業協力事業部主催で2023年11…
  2. 「【論文紹介】 無痛分娩と オキシトシンの 使用による 児の自閉症リスク上昇 との関連」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-10-27

    【論文紹介】無痛分娩(分娩時の硬膜外麻酔による鎮痛)とオキシトシン(陣痛促進剤)の使用による児の自閉症リスク上昇との関連

    今回は、分娩時の硬膜外麻酔による無痛分娩で生まれた子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD:Autis…
  3. 横須賀刑務支所に建てられた第31回横須賀矯正展(2023年10月29日開催)の看板

    2023-12-8

    横須賀矯正展とは?刑務所内のブルースティックの生産工場も見学できる

    横須賀矯正展は年に一度、横須賀刑務支所により開催される刑務所イベントで、今回で31回目。横須賀刑務支…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る