
実質賃金が4年連続マイナスとなる一方で、名目賃金は5年連続で増加し、賃上げの動きが続く中でも物価高に追いつかない構図がより鮮明になっています。
厚生労働省が9日に公表した2025年平均の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によりますと、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年比1.3%減となり、4年連続のマイナスでした。マイナス幅は前年の0.3%減から拡大し、物価高の影響が一段と強まっていることがうかがえます。一方、名目賃金に当たる現金給与総額は前年比2.3%増の月平均35万5919円で、5年連続の増加となりました。伸び率が2%を超える状態が2年続くのはバブル期の1992年以来とされ、春闘を通じた賃上げの流れ自体は継続しています。
賃金の内訳を見ると、フルタイムの一般労働者の現金給与総額は46万5895円で2.9%増となり、基本給にあたる所定内給与は2.5%増と1994年以降で最も高い伸びとなりました。一方、パートタイム労働者の現金給与総額は11万4455円で2.3%増にとどまり、就業形態による水準の差は依然として大きい状況です。時間当たりで見ると、パート労働者の時給は1394円と2011年以降で最高水準に達しており、最低賃金の引き上げなどを背景に改善が進んでいます。それでも、短時間勤務が多いことから月額ベースでは上昇が限定的となり、生活の実感に結び付きにくい側面も指摘されています。
物価側では、統計上用いられる消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)が前年比3.7%上昇しており、賃上げの伸び率を上回ったことで実質賃金の押し下げ要因となりました。特に、コメなど生活必需品の価格高騰が家計を直撃しているとされ、賃上げの恩恵を十分に感じられない世帯が多いのが現状です。厚労省の担当者は、「賃金は堅調に推移しているものの、物価の上昇がそれを上回っているため、実質賃金のマイナスが続いている」と説明し、賃金と物価のギャップが続いているとの認識を示しています。
実質賃金マイナスが続く中で問われる政策対応
2025年12月の実質賃金も前年同月比0.1%減と、12カ月連続のマイナスで推移しており、月次ベースでもマイナス傾向が定着している状況です。同じ毎月勤労統計では、2025年11月の実質賃金が2.8%減とマイナス幅を拡大させており、ボーナスの伸び悩みなどが影響したと分析されています。この間、総実労働時間は減少傾向にあり、出勤日数も減っているとされ、働き方の変化が賃金動向にも影を落としている面があります。
実質賃金の低下が4年続くことで、家計の節約志向が強まり、個人消費の回復力をそぐ懸念も高まっています。とりわけ、パートタイムを中心とした非正規雇用層では、時給は上昇しても月額ベースでは10万円台前半にとどまるケースが多く、生活保障の観点からも課題が残ります。政府内では、春闘を通じた継続的な賃上げ要請に加え、物価高対策や低所得層への支援の在り方が改めて問われており、名目賃金の上昇を実質的な生活水準の改善につなげられるかが焦点となっています。
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