円安加速、1年8カ月ぶりの160円台突入 中東情勢緊迫と米金利上昇が拍車

ウォール街

2026年3月27日のニューヨーク外国為替市場で、円相場が対ドルで一時1ドル=160円台まで下落しました。160円台を記録するのは、政府・日本銀行が大規模な円買い為替介入を実施した2024年7月11日以来、約1年8カ月ぶりの水準となります。今回の円安進行の背景には、深刻化する中東情勢を受けた「有事のドル買い」に加え、原油価格の高騰に伴う米国の長期金利上昇という二重のドル高圧力が存在しています。

現在、米国・イスラエル連合とイランの間では攻撃の応酬が続いており、事態は極めて不透明です。米ニュースサイトの報道によれば、米国が大規模な軍事作戦を検討しているとの情報もあり、地政学リスクの長期化懸念が投資家の心理を冷やしています。市場関係者からは、週末を前にリスク回避のためにドルの持ち高を調整する動きが出ているとの指摘もあり、先行きについては2024年の介入直前の安値である162円付近まで下落が加速する可能性も取り沙汰されています。

米国の長期金利上昇も円売りを加速させる大きな要因です。指標となる10年物国債利回りは、原油高によるインフレ再燃への警戒感から4.4%台と、約8カ月ぶりの高水準を記録しました。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、投機筋による円の売り越し幅は高水準で推移しており、イランによる攻撃開始前と比較して、円安・ドル高の進展を見越したポジションが急増している実態が浮き彫りとなっています。さらに、原油指標であるWTI先物価格が一時1バレル=100ドルの大台を伺う展開となったことも、エネルギー輸入依存度の高い日本の貿易赤字拡大を意識させ、さらなる円売り材料として機能しています。

ネット上では、「160円台再突入は生活への影響が大きすぎる」「ガソリン代や電気代がどこまで上がるのか不安だ」「政府は早急に介入を検討すべきではないか」といった、物価高騰への懸念を露わにする声が相次いでいます。

為替介入への警戒感と市場の冷ややかな視線

かつて160円台をつけた2024年7月には、低金利の円を売って高金利のドルで運用する「円キャリー取引」が主導し、161円96銭という約37年半ぶりの安値を記録しました。これに対し、政府・日銀は2日間で数兆円規模の円買い介入を断行し、相場の急激な変動を抑制した経緯があります。しかし、今回の局面については、当時とは状況が異なると分析する専門家も少なくありません。

市場の分析によれば、足元の相場変動は特定の投機筋による円の狙い撃ちではなく、中東情勢や米金利といったマクロ経済要因に基づく「ドル独歩高」の側面が強いとされています。そのため、現時点でのボラティリティ(変動率)は過去の介入局面ほど高くはなく、政府による介入のハードルは以前よりも高いとの見方が浮上しています。

一方で、160円という心理的節目を突破したことで、輸入物価の上昇を通じた国内インフレへの悪影響は避けられません。日本銀行による追加利上げのタイミングや、政府の物価高対策が改めて問われる局面を迎えています。今後の焦点は、米国の景気指標や中東の軍事バランスがどう変化するか、そして日本の通貨当局がどのタイミングで「断固たる措置」を講じるのかという点に集まっています。

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