
イランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師が3月12日、就任後初めての声明を国営テレビを通じて発表し、ホルムズ海峡の封鎖継続の方針を示しました。
世界の原油供給の約2割が通過する海上交通の要衝であるホルムズ海峡をめぐっては、革命防衛隊(IRGC)がすでに封鎖を宣言しており、通過を試みる船舶への攻撃も辞さない姿勢を示しています。封鎖継続が改めて明示されたことで、国際的なエネルギー市場と地域情勢への緊張はいっそう高まっています。
声明は書面の形式で国営テレビのアナウンサーが読み上げたものであり、本人が映像に登場することはありませんでした。モジタバ師は攻撃開始初期に負傷した可能性が指摘されており、安全確保のため姿を見せていないとみられます。声明の内容は米国との対立をさらに先鋭化させるもので、米軍基地への攻撃継続を宣言する一方、湾岸諸国との友好関係の必要性にも言及しました。
声明はまた、2026年2月28日の米・イスラエル軍による攻撃で死亡した前最高指導者アリ・ハメネイ師(享年86歳、在位37年)への深い哀悼を示し、民間人被害に対する強い賠償要求を改めて表明しました。
なかでも注目されるのが、南部ホルムズガン州にある女子小学校攻撃への言及です。この攻撃は戦争開始初日の2月28日に発生し、子ども少なくとも168人と教員14人が死亡したと報告されています。
古い標的情報に起因する米軍の誤爆だったとみられることが初期段階の調査で明らかになりつつある一方、最終的な調査結論はいまだ出ていません。この民間人被害の拡大はイラン国内の対米感情をいっそう悪化させており、新指導部が強硬な姿勢を維持する根拠の一つにもなっています。
「革命防衛隊主導」色を帯びたモジタバ師の選出過程とリスク
モジタバ師(56歳)は、前最高指導者アリ・ハメネイ師の次男として権力中枢に近い存在でしたが、政府の公職への就任経験はなく、一般国民への知名度は高くありませんでした。最高指導者を選出する「専門家会議」は本来、宗教指導者による独立した機関ですが、今回は革命防衛隊が水面下で強く介入し、「世襲指導者」の誕生を事実上押し進めたとの分析も出ています。
前回1989年の指導者交代と異なり、今回の権力移行は不透明さが際立ちました。革命防衛隊が意思決定を主導し、最高指導者が象徴的な役割にとどまる構図が強まれば、対外的にはより攻撃的な軍事路線、国内的にはさらに厳しい統制につながるとの懸念が専門家の間で指摘されています。
ホルムズ海峡封鎖が長期化すれば、日本を含む原油輸入国のエネルギー安全保障や世界経済への打撃は避けられないとみられ、新体制への外交・安全保障面の対応が急がれています。










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